斉木空助のψ愛２【斉木楠雄のψ難】

病み上がりのψ難６ ページ37

.


……いや、待て待て待て。

斉木さんと私は以前にソウイウ雰囲気になったにも関わらず、私の所為で中途半端になった事がある。

そして、男性は逃げる獲物を何としてでも捕まえたいという狩猟本能が備わっている。

……もしかしたら、斉木さんが急に好意を抱いている事を口に出したのは『逃した魚は二度と逃さない』という狩猟本能に駆られた所為なのかも知れない。


「結論出た？……なんか難しい顔してるね、これでも勘違いする気かい？」


……そうだとしたら、それは『好意』というより『性的欲求』に近いのではないだろうか？
『性的欲求』の対象として見られるのは寧ろ嬉し……、嫌ではない。

しかし、これで今、想いを伝えてアレやコレやを行なったら、斉木さんの狩猟本能は治まり「……あれ？良く考えたらそんな好きでもなかったかな」となる可能性がなきにしもあらずだ。

そうならない為には、私への『好意』がどのくらいのレベルなのかを考える必要がある。
先程、斉木さんは何の恥ずかしげもなく『好意』を伝えたが、本当に私への気持ちが強いなら、もっと感情に動きがあっていい筈だ。

と言うことは、斉木さんの言っている『好意』は〈興味本位でからかう人間〉から〈別に一緒に居てやってもいい人間〉にランクアップしました〜、と言うニュアンスなのかも知れない。

成る程。

だとしたら、行うべき事は決まった。


「分かりました、斉木さん！！」

ゴッ

「いっ……！」

「っう、」


上体を起こそうとしたら、勢いをつけ過ぎて斉木さんの額に頭突きをしてしまった……。
うう、頭がガンガンする。

斉木さんに謝ろうと顔色を伺うと、その表情はうっすらと苛立って見えた。
お、怒っていらっしゃる。


「斉木さん、ご、ごめんなさい……」

「……色々考えた末、君は自分を好いている人間に頭突きをかます事にしたんだね」

「ちっ違います違います！これはただの不注意です！ごめんなさい、痛かったですよね……」


よしよし、とぶつけてしまった額を撫でると、斉木さんの苛立った表情が少し和らいできた。
良かった良かった……。

いや、良くない。

本題に入らなければ。

布団の上で姿勢を正して正座をする。
斉木さんは立膝をつきながら、なんだか面白くなさそうにこちらを見ていた。


「ここから！ここからが本題です。斉木さんは先程私に……その、『好意』を伝えて下さいましたよね？あの、すっごく嬉しかったです、」

「うん、ようやく分かったみたいだね」

病み上がりのψ難７→←病み上がりのψ難５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す