暴走少女の誤χを解け3 ページ31
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「自分でブレーキかけられるように、意識してみます」
「やっと伝わったね」
「お手数お掛けしました……」
少し疲れたような表情の斉木さんを見て、申し訳なくなる。
暴走勘違い女でごめんなさい。
申し訳なさと同時に、私の胸の中に嬉しさが込み上げる。
まだ私は斉木さんの隣に居ていいのか。
安堵感と幸福感で胸がいっぱいになる。
熱で浮かされた脳は感情のコントロールがしにくい。
私は嬉しさの余り斉木さんにぎゅう、と抱き着いた。
「っ、」
「嬉しいです、斉木さん、私の事呆れてないんですか?嫌ってないんですか?」
「……ある意味呆れたけどね。自分の体調くらい管理しなよ」
「はい。ちゃんと体調管理して、研究頑張ります」
「ほらまた、」
「あ……えっと、んっ……けほ、適度に、頑張ります」
頑張りすぎ、良くない。ダメ、絶対。
自分にそう言い聞かせながら、二週間ぶりの斉木さんの体温を味わう。
この爽やかな香りの柔軟剤と、薬品が混じったような匂い、斉木さんの匂いだ。
調子に乗って斉木さんの背中に手を回してしまったが、これは熱の所為であり、嬉しくて調子に乗ってる私の所為ではない。
手を回して抱き着くと密着度が全く違い、より斉木さんを感じる事が出来る。
匂いが!体温が!シャツ越しに感じる肌の感触が!
……たまらない、癖になってしまいそうだ。
ふふ、熱の所為だという免罪符があるからか、普段は言えないお願いも言える!
更に調子に乗っ……熱に浮かされた私は、顔を上げて斉木さんを見た。
「斉木さん……、頭撫でて下さい」
「……やだ」
「か、勘違いしてたのは申し訳ないですが、私二週間沢山頑張りましたよ」
「知ってる」
「頑張ったから、撫でて下さい」
「……、」
「……撫でてくれたら、私元気になります」
「はぁー……、しょうがないな」
渋々だが、斉木さんは私の頭を撫でる。
ゆっくりと大きな手に優しく撫でられて、疲れた心と身体が癒されていく。
くううー……二週間、これを目標に頑張った甲斐がありました……!
斉木さんの背中に伸ばした腕を更にギュ、と強く締めた。
ビク、と斉木さんの身体が揺れた気がしたが、気のせいだろうか。
「……そうだ、誤解してるみたいだけど僕が『手を出す』のは暴力の方じゃなくて性的なやつだから」
「……そ、そうですか……、」
何だ。性的なやつか、良かった……いや、良くない。全く良くない。
「熱が治ったら、今まで散ッ々煽った分覚悟しておいてね」
斉木さんはMK5(マジでキレる5秒前)だ。
あ、これは調子に乗り過ぎた。
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あああ - 30ページ、アルカイックスマイルじゃないですかね、、、? (2020年4月3日 18時) (レス) id: 400d3f0549 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - いふれんさん» 改造人サイダーマン2号は、まさかのあの方です笑 (2018年8月27日 23時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
いふれん - 遊太君が言う、改造人間サイダーマン二号ってま、まさか……あの人か (2018年8月27日 16時) (レス) id: 083c75066f (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - ポエムさん» なんと…!嬉しくてつけ上がりそうです(笑)空助さんらしいとかホント嬉しいです!羽純まで可愛らしいなんて言って下さってニヤニヤします…!応援ありがとうございます! (2018年8月17日 17時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
ポエム(プロフ) - やばい…めちゃくちゃ面白いです…!!空助がまさに空助らしい口調で最っ高…羽純さんもとても可愛らしいです…!陰ながら応援しております…!!! (2018年8月16日 21時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさぎ | 作成日時:2018年7月15日 17時