ψ高の遊園地デートを目指せ3 ページ46
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「……そのやらしい顔、やめてくれない」
「や、……し、してませんよそんな顔!」
「やっぱ続けよ」
「ちょ、外ですよ、ん」
とか言いつつ、しっかり受け入れてしまう私の意思の弱さはどうにかならないものか……。
互いの口を付けているだけなのに、なんとも甘やかな気持ちになってくる。
木々に止まって騒々しく鳴いていた蝉の声が、ゆっくりと小さく聞こえてくるようだ。
首を伝う汗すら、気にならなくなる。
「は、斉木さ、」
「……続き、したくなったんじゃない?君が望めば出来るのに、馬鹿だね」
「だ、から、それは」
「あーーーッ!!もしかして、ミルクTガール!?また怪人エスプレッソ伯爵に捕まってるの!?」
「ッ!?」
突然、子ども特有の甲高い大きな声で叫ばれ、思わず肩がビクリと動く。
斉木さんも珍しく驚いたようで、少し身体が動いていた。
急に声を上げられたのにも驚いたが、状況が状況だ。
外でこんな事をしてるという罪悪感からか、余計に心臓に悪かった。
声がする方を振り向くと、帽子を被った幼い男の子が立っていた。
男の子はワクワクしたように目を輝かせ、両手を強く握り締めていた。
……良かった、キスしている所は見られていないようだ。
「怪人エスプレッソ伯爵は、どうしてミルクTガールと口くっ付けてたの?テレビではしてなかったよね?」
ガッツリ見られてる!!
こんな幼い子にあられもない光景を見せてしまった……と良心の呵責に苛まれた。
そしてめちゃくちゃ恥ずかしい。
もう二度と外でのキスはしないようにしよう、と反省した。
というか、何故この子は一人なのだろうか。迷子なのか?
「……君、迷子かい?」
「怪人エスプレッソ伯爵!ミルクTガールを離すんだぁ!」
「は?」
会話が成立しない……。
「待っててねミルクTガール!改造人間サイダーマン2号に言って助けてきてもらうから!」
「……えーと、先程からミルクティーやエスプレッソと言ってるのは何ですか?」
男の子は自分の世界にドップリと入っているようなので、それに関係した質問をしてみる。
この質問は男の子に効いたようで、待ってましたとばかりに背中に背負っていたリュックから厚めの絵本を取り出した。
絵本を持って私達の近くまで歩いてくると、嬉しそうに絵本を開いてこちらに見せた。
「2人とも自分のことわすれちゃったの?ご都合主義のきおくそーしつなの?」
「ま、まぁそんなようなものです」
「何これ、特撮モノ?僕見たことないから分かんないや」
「私もあんまり……」
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あああ - 30ページ、アルカイックスマイルじゃないですかね、、、? (2020年4月3日 18時) (レス) id: 400d3f0549 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - いふれんさん» 改造人サイダーマン2号は、まさかのあの方です笑 (2018年8月27日 23時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
いふれん - 遊太君が言う、改造人間サイダーマン二号ってま、まさか……あの人か (2018年8月27日 16時) (レス) id: 083c75066f (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - ポエムさん» なんと…!嬉しくてつけ上がりそうです(笑)空助さんらしいとかホント嬉しいです!羽純まで可愛らしいなんて言って下さってニヤニヤします…!応援ありがとうございます! (2018年8月17日 17時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
ポエム(プロフ) - やばい…めちゃくちゃ面白いです…!!空助がまさに空助らしい口調で最っ高…羽純さんもとても可愛らしいです…!陰ながら応援しております…!!! (2018年8月16日 21時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさぎ | 作成日時:2018年7月15日 17時