【オリジナル】ありふれてない日常 (ページ15)

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曇天―３― ページ15

集合時刻になった。私たちは、校門の前にいた。

「準備はいい？ティッシュは？ハンカチもある？」
「オカンかよ」
「＿＿私達、なにしに行くんだっけ」
「言っちゃあかん」

人を殺しにいくと言うのに、この緊張感の無さ……。いや、元凶は私なのだが。

「おい、おまえら」

後ろから声をかけられる。振り向いたら、そこにはさくじゅんがいた。

「え、先生どうしたんすか？」

と、結城が聞く。すると、先生はため息をついて、

「敵の拠点までおまえらを送っていけって、鶴川から頼まれた」
「……え、でも十人ですよ？乗せられるんですか？」

すると、さらに大きなため息が彼の口から出た。

「車だけが送り迎えの手段だと思ってんのか？……わかりやすく言うと、修学旅行の引率の先生」
「なるほど」
「……こんなでいいのか？平気かおまえら」
「心配しないでください。死にはしませんから」

そして、私達が敵の拠点に到着すると、先生は即座に帰っていった。

「結城、さっそくお願い。皆も位置について」
「了解。＿＿そうだ。なにかあったら、これ使って。玲さんから、最新型を貰ったんだよね」

そう言って、結城から渡されたのは、新品の小型の通信機だった。

「うおお、かっけえ！」

と、愛依のテンションが上がっている。確かに格好いい。

「ちなみに、これはいくらかかったんだろう」
「最新型だからねー……」

嫌な予感がしたので、皆が口をつぐんだ。

「じ、じゃあ、作戦開始！行こうか」

空気を変えるべく、作戦開始を告げた。
皆、散り散りになって、定位置に着く。

「＿＿結城、聞こえてる？」
『はいはい』

最新型だからか、通信機から聞こえる声が、ほぼ生声に聞こえる。凄い。

「見張りの数は？」
『えっとねえ……正面に一人。それ以外はいないよ』

一人？あまりにも警備が薄すぎないか？

『結構ガタイのいい人だねえ。武器も、それなりのを持ってる』

そういうことか……。普通に結城の銃で撃ったら、音で気づかれるよね……。

「音が出ないスナイパーライフルとかってある？」
『おっ、あるよ！』
「よし。それで見張りを撃って」
『了解！』

そして、結城の声が聞こえなくなって、数秒後。

「ぐあっ」

私達が隠れていた、豪邸の陰の後ろから、おそらく、見張りのものであろう声が聞こえた。
＿＿結城だ。するとその後すぐに、やったぜ！という彼の声が。

「よし、行くよ」