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『産まれてきてくれてありがとう』
『……という思いを、形に変えるんです』





松陽のその言葉に、Aは誕生日の女児が産まれてきて良かった存在であることが分かった。

その考えを悟った松陽は、彼女に「Aさんの誕生日はいつですか?」と聞く。




『……わからない、です』

『そうですか……』




自分の出生を知っている父親はいず、親戚は彼女の誕生日を把握しているのかさえ微妙。

しかし松陽が眉を垂れ下げた時、「でも」とAは口を薄く開いたのだ。




『お父さんが、わたしが産まれたのはどこかで石が落ちてきたのと同じ日だって』
『……言ってたような、気がします』




語尾が弱々しく、最後は俯いて自分のスカートの裾を握りしめている。



初めて聞かせてくれた、Aの親の話。おそらく悲しいことばかりで、そんな自分を護るために自然と記憶に蓋をしてしまったのだろう。


そこから無意識に記憶は薄れていき、それでも覚えていたというこの記憶はAにとって大切な思い出だったことが分かった。




そうして松陽はAから聞いたことをそのまま迎えにきた高杉に教える。だが、「祝ってあげてください」というようなことは一言も言わなかった。



言わなくても高杉なら祝うと思ったのか、それとも試しているのか……。



高杉は吉田松陽という人物をまだ理解しきれていないが、こいつには勝てないと、心のどこかで感じ取っていた。

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設定タグ:銀魂 , 高杉晋助 , 吉田松陽   
作品ジャンル:アニメ
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - 昔の自分と比べてしまいました。あなたの作品がとても好きです。この作品に出会えたこと、心から感謝しています。涙を拭きながら、読み進めようと思います。 (2019年1月27日 16時) (レス) id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - こんにちは、コメント読んでいただけているかどうか…でも、もしよんでくださるなら。わたしは、ハルさんの作品に心底惚れています。自分の書きたいものをえがくことって素晴らしいと思うんですよね!だから、周りの意見に惑わされず「ハルさんの作品」を待ってます (2018年5月2日 0時) (レス) id: a53110be97 (このIDを非表示/違反報告)
kaya(プロフ) - 今更...な感じがしますけど、コメント失礼します。私、この作品読みながらずっと泣いちゃってました。素晴らしい作品だと思います。何回読んでも飽きないですね!感動しました。 (2018年4月2日 22時) (レス) id: 504932b45f (このIDを非表示/違反報告)
ハル@六月に一時帰還予定(プロフ) - みなさんコメントありがとうございます〜( ; ; ) お一人お一人にご返信をしたいのですが、下の方のコメントが消えてしまいそうなので割愛させていただきます( ; ; )無念……。沢山の励ましのコメントを胸にこれからも頑張って行きますので、応援お願いします!! (2018年2月1日 17時) (レス) id: 9ebc1e1d82 (このIDを非表示/違反報告)
クローバー - 心に響きました。恋愛要素など無くとも、人を感動させられる小説は素晴らしいと思います。これからも頑張ってください。応援しています! (2018年1月12日 20時) (レス) id: acfcc66616 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory  
作成日時:2017年10月6日 18時

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