フラッシュ ページ7
クリスマスコンサートがいよいよ間近に迫った12月のある日、松竹座8階の稽古場。
厳しい怒号が響く稽古の真っ最中、大きな青い旗を必死に振っていたら、肩を叩かれた。
「お前、ちょっと来て。」
言われるがままに、同じフロアの端の小部屋に入る。
押し付けるように渡された赤のギンガムチェックの衣装に着替えて、ドアを開けたら誰もいなくなっていた。
恐る恐る、ドアの開いている向かいの部屋に入る。
真っ白な背景に、真っ白なレンガブロックが配置されたセット。
その中に、見知った顔が並んでいた。
「えっ、Aやん！」
「ほんまや！何で？」
神山くん、流星、シンペイくんを合わせた6人が、私と同じ、赤のギンガムチェックの服でセットの中に立っていた。
…ていうか、これ、見たことあるな。
この前のコンサートで、Hey!Say!7westとしてステージに上がっていた6人が、私の眼の前に立っている。
「はい！じゃあ、君は神山くんの隣に入って？
うん、そこ。それでは再開しまーす。」
ピーピー、カシャッ。
真っ白の空間に、眩しいフラッシュが光る。
『目線くださーい。お、いいね。じゃあ外してみて。』
外す、がわからなくて、カメラマンさんを見た。
「あ、君。カメラ見ちゃだめだよー。」
えっ。
見る場所が定まらなくて、上を見た。
「A！こっちの方見とき。」
神山くんが指した方向に視線を向けた。
「いいねー！最後！本誌用にもワンカットもらおうかな？よし、みんなでぎゅっと集まってー。」
言われたとおり壁の前に並んで、カメラを見た。
フラッシュライトの残像が、黄色く眼の中に残る。
「お疲れ様でしたー！」と撮影が終わって、みんなと一緒に部屋を出ようとしたとき、「君初めてだよね？残って。」と、私だけが呼び止められた。
隅に置かれたパイプ椅子に腰掛けると、目の前に大人の女性が座った。
「お名前は？」
「A、Aです。」
「…？A、くん、でいいのかしら。」
「…あ、はあ…」
様子を見に来たチーフマネージャーが、その人に何か耳打ちをした。
「…Aちゃん、なのね。…オーケー。じゃあ、次の質問。出身地は？」
「えっと、大阪府、」
「あ、そこまででいいの。じゃあ次。血液型は？」
そんな調子で靴のサイズや誕生日を聞かれたあと、ようやく解放されて稽古場に戻ると、さっき私がもっていたはずのフラッグは、別の子の手の中で大事そうに握られていた。
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ゆちか(プロフ) - asa258さん» コメントありがとうございます。嬉しくて嬉しくて、昨日はこのコメントをぎゅっと抱きしめて眠りました。いつまででも待つなんて、ありがたいお言葉をありがとうございます。こちらこそ今後も読んでいただけたら幸いです。 (4月7日 7時) (
レス) @page18 id: 8bce07181e (このIDを非表示/違反報告)
asa258(プロフ) - 更新ありがとうございます。ずっと読ませていただいております。心理描写が丁寧で何度も読み返すほど大好きな作品です。いつまででも待ちますので、これからも読ませていただけると幸いです。 (4月6日 19時) (レス) @page17 id: 576d67210c (このIDを非表示/違反報告)
ゆちか(プロフ) - matsuriさん» コメントありがとうございます。大変お待たせしてしまいましたが、matsuriさんの温かいお言葉に励まされ、なんとか続きを書くことができました。稚拙な作品ですが、今後もお付き合いいただけましたら幸いです。 (4月6日 8時) (レス) id: 8bce07181e (このIDを非表示/違反報告)
matsuri(プロフ) - 結構最初の方から読ませていただいています。すごく楽しく読んでいます。無理しない範囲で更新楽しみにしています。 (3月26日 19時) (レス) id: 3f610d2b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちか(プロフ) - るびぃさん» コメントありがとうございます。私も逆引き寄せの法則シリーズを愛読しておりますので驚きました！あの頃を違和感なく書けているか不安でしたが、懐かしく感じていただきとても嬉しいです。今後ともよろしくお願いいたします。 (2月2日 17時) (レス) id: 8bce07181e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちか | 作成日時：2024年1月27日 6時
