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争う国と平和な国―4― ページ5

次の日。
授業が終わり、部活をやって、またあの四人で帰っていて、1日が普通に終わる__はずだった。

「きゃあああっ!」

駅前広場の方から、女の人の甲高い悲鳴が聞こえた。周りに動揺とざわめきが広がる。

「えっ、ええっ……!?」

奈瑠から変な声が出る。

「どどど、どうする?見に行く?」

私も動揺のあまり変なことを言う。

「いやいや、悲鳴が聞こえてる時点で危険でしょ。わざわざ向かうアホがいるか?」

実結が冷静を保とうとする。

「部活の弓矢あるけど……」

栞里は行く気満々である。ついでに撃退するつもりらしい。

「アホがいたよ」

実結は大きくため息をついた。
でも、気になるよね……。よし。

「とりあえず行ってみよう!」

そう言って、駅前まで走っていった。
駅前は、普段ならたくさんの人が行き来していて、とても活気があるのだが、今は突然の出来事で静まり返っている。よくみると、ある部分を避けるように人が立っていることに気付いた。とりあえず、近くにいた男の人に何があったのか聞いてみた。

「あそこにいた男が、急に女の子を人質に取ったんだ。しかも、身代金まで要求して……。しかもあいつが言うに、ここら辺一帯が吹っ飛ぶっていう時限爆弾もあるって言うんだ」
「嘘でしょ!?」

だとしたら、私たち……死ぬよね?

「えっちょ、ふざけんなよ!」

栞里が大声を出す。

「死にたくなければ今すぐ金を持ってこい!」

人質を取っている男が怒鳴り散らす。
いやいや、警察まだ来てないのに……。
私は、もう一度近くの男の人に話しかけた。

「あの、身代金って、いくらくらい要求したんですか?」
「一千万とかなんとか言ってたぞ……」
「うわあ……」

そんなの、今すぐに用意できるわけない。よほどのお金持ちなら別だが。それに、時限爆弾もあるって言うし……。

「もうダメだ、おしまいだ……」

誰かがそんなことを言ったのを皮切りに、人々は口を揃えて弱音を吐き始めた。
家に帰りたい。
もう死ぬしかないんじゃねえの。
殺すならさっさとしてくれよ……。

「ヤバイヤバイヤバイ、めっちゃネガティブ」

栞里が言った。

「警察は来ねえか……」

男は言葉を続けた。

「時限爆弾のスイッチを押すぞ!」

辺りは再び悲鳴に満ちた。

「なんで警察は来ないんだよ!」

その通りだ。もう随分時間が経った。来ないはずがない。
__まさか、見捨てたとかないよね?
そして男はスイッチを押した。

残り、あと五分__

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作者名:もろこし24% | 作成日時:2018年1月22日 20時

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