争う国と平和な国―3― ページ4
なぜ二人がここにいるのだろうか。部活で忙しいはずだが……。
「栞里、部活は?大会まであと少しでしょ?」
「体育館の整備があるから今日はもう終わりなんだよ」
私たちの学校は、生徒の安全とかそういった面に几帳面で、校舎や体育館の整備がよく行われている。
「そういえば、今日が整備の日だったね。じゃあ実結は?」
ライフル射撃部は、校庭の横にあるスペースに、的を立てて練習している。一応外部活なので、体育館の整備は関係ないはずだ。
「それがさ、顧問の先生が会議でいなくて……。ウチは、結構危ない物を取り扱っているから、顧問の先生がいないと部活できないんだよ……」
実結はそう言って、しょんぼりと肩を落とした。
「で、合唱部の夢香さんは?もしやサボり?」
そう言って、栞里は私を見た。もちろんサボりではない。
「失礼な!この前発表会があったから、朝練だけで午後はオフなの!」
「なんかごめん」
「わかればよろしい」
すると、奈瑠が何かを思い付いたらしく、あっと声を出した。
「ねえ、久々に四人揃ったし……ゲーセン行く?」
私は良い案だと思ったのだが、他二人が用事があるということで、解散となった。
「へえ、奈瑠がそんなことを……。まあ、私もゲームみたいな戦いをしたいぞ!」
栞里が目を輝かせて言った。……おまえもか!
私と栞里は、家の方向が同じである。
「でも、ある日突然己の力が覚醒したり、戦場にトリップ的なことをしたりとかが無いから戦えないけどね。でもなあ……一発くらいはやってみたいよね。こう、グサッ!と」
「そんな物騒なことを言わないでくれよ。凄いわかるけど」
「わかるんかーい。でも、夢香はゲームの中でモンスターをザクザク切り刻んでるんでしょ?楽しそう」
「いや、うん。でも、モンスターの血が、紫色なのは、ちょっと……」
ゲームを始めたばかりのトラウマを思い出したので、話すのをやめた。……何があったのかは言わないでおく。
「でも、私たちが戦う日はきっとこないね」
栞里が目を閉じて言った。
「だと良いね」
今のは、心の底からの言葉だ。ちょっと良い感じの雰囲気になったのを見計らって、栞里は大声で言った。
「流石に、人の血を見たら吐きそうだし!」
「おいテメェ、もう少しぐらい余韻に浸らせろよ」
私が拳を構えると、栞里は自分は悪くないと言うように、
「戦争なんて私たちがやるはずないしー」
と言った。
__あの、フラグですか?
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作者名:もろこし24% | 作成日時:2018年1月22日 20時