page243 プライベートモード ページ9
ーヒロsideー
昼食を終えると、俺達は再び練習場に足を運んだ。さっきの…彼女の笑顔。星の欠片が弾けるような笑顔だった。比較的お淑やかな印象だった彼女は、段々と垢抜けていき、今では少々おてんばな一面も見せる。いつの間にか、彼女のちょっとした表情の変化ですら、見逃すのが惜しいと思うようになっていた。
「ヒロさん、ここの振りなんですけど…」
今は生き生きと話しかけてくれるが、最近退屈そうにしているのを俺は知っている。少し前からどこかへ連れて行ってあげたいと心の内に秘めていたのだ。今日こそ、そのチャンスなのかもしれない。
「よし、ここの振り付けはこれで決まりね。…そ、そうだAちゃん。実は気になってるカフェがあってさ。今限定のスイーツ出してるみたいで。えと…だから、もし良かったら、練習の息抜きがてら後で付き合って貰えないかなー、なんて……。」
言葉に詰まりすぎてカッコ悪かっただろうか。仕事では甘い言葉なんてスラスラ出てくるのに、どうしてこんな重要な時には上手く伝えられないのだろう。
恐る恐る彼女の様子を伺うと、思っていた数倍、目を輝かせていた。
「スイーツですか…!?是非!行きたいです!何時に行きますか?もう行きますか?」
「あ、えっと今がいいなら!全然俺はどのタイミングでもいいし!じゃあもう行っちゃおうか?」
「着替えてきます!!」
そう言うとこちらを振り返りもせず、すっ飛んで行ってしまった。喜んでくれて嬉しい反面、1人取り残された事実が寂しい。
俺は共にその場に置き去りにされた荷物達を見つめた。また戻ってくるだろうから、このままでもいいだろう。そう考え、自分も変装の為1度部屋へ戻る。栗色の明るい髪を隠す黒髪のウィッグに帽子、仕上げに黒縁のメガネをかけ大人しめの服をチョイスする。白いTシャツにスラックス…鏡に映る自分を見て、物足りなさを感じる。先端にリングがついたネックレスを首にかけ、紐でできたブレスレットを左手につける。
俺は再び鏡を見た。まだ何か足りない。ストライプのシャツなんかも羽織ってみる。
どこもおかしくないだろうか。まじまじと自分の姿を確認する。例え変装でもオシャレに見られたいだなんて、全くどうかしている。
俺は部屋を出て廊下で彼女が出てくるのを待った。暫くすると扉が開く音がして、同じように変装をした彼女が出てきた。
「お待たせしました。」
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kiko(プロフ) - ななしさん» 初めまして!読んでいただきありがとうございます。ハピなるになっていただけたようで私も嬉しいです^^他の方の作品あまり読んだことなかったので、チェックしてますね! (5月28日 3時) (レス) id: 22e3e6f4b3 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 初めまして、kikoさん、作品とても素敵でキュンキュンです(照)私の友人もプリティーリズムの作品書いてるので良ければ読んで下さい(( (5月23日 4時) (レス) id: 3b8bc56239 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiko | 作成日時:2022年12月13日 12時