page242 不思議な空気感 ページ8
「ヒロ？ご飯できてるけど……あれ、Aちゃんもいる。」
昼食の時間になっても食堂に現れないヒロを探しにコウジが顔を出した。
「あ、コウジ。もうそんな時間か。」
「2人で何やってるのー？」
私達は事の経緯を説明した。するとコウジは少し拗ねた表情をする。
「えー！そんな楽しそうなことやってたなんて。僕も混ぜてよ。」
「残念。今回は俺とAちゃんのセッションだからなぁ。混ぜてはあげられないけど、完成したら見に来てよ。」
「もちろん見に行くけど。Aちゃん、今度は僕とやろうね。」
さっきとは打って変わった笑顔でそう言うと、彼は食堂に来るようにだけ伝えて去っていった。
「せっかくだから他の人にも見てもらいたいね。」
ヒロはそう言うと荷物を片し始める。食堂へ向かうようだ。ひとまず今日の練習は終わりなのだろう。私も自然と彼に合わせてタオルや飲み物を拾い集めた。
「ね、今日は俺オフだし、ご飯食べ終わったらまたやろうよ。」
不意打ちの積極的なその言葉に心臓が跳ねる。
「いいんですか？」
「もちろん。」
そう言った彼の笑顔は嘘偽りなく、この状況を心底楽しんでいるようだった。
自分と同じ気持ちでいてくれたことに胸が熱くなる。
「楽しみです！」
私も彼と同じように、満面の笑みでそう返す。
すると彼は、予想と大きく外れた表情をした。途端、別世界に入り込んだかのように空気が一変する。笑みは消え、放心したように少し開いた口、パッチリとした目が私を真っ直ぐに捉える。
私はつられて彼の瞳を見つめた。まるで時が止まったように見つめ合う。何故何も言わないのだろう。そう疑問に思いつつも、この不思議なぎこちなさに浸る。
暫くすると、多めに瞬きをし顔を背け、彼は言った。
「あ、ごめん。食堂行こっか？」
最後の方には、いつもの笑顔でそう言うのだった。私もはいと返事をし、何事も無かったかのように2人で食堂へ向かう。
「サビからの振り付け、候補何個かあるから後で見てもらおうかな。」
「ほんとですか。」
「うん。」
淡々とした会話。こちらを見ずに歩く彼を横目に、このフワフワと雲の上にいるような感情の正体に戸惑う。
「あ、きたきた。今日はサンドイッチだよ。」
食堂で出迎えるコウジの言葉に、ヒロの笑顔がパッと弾ける。
「おお…！美味そうだなコウジ！早く食べないと俺が全部食べちゃうよ！」
子供のようなその反応を見ると、さっきまでの氷上のプリンスを忘れ、可愛いとまで思ってしまう。
「あ、そういうこと言う！待ってください！」
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kiko(プロフ) - ななしさん» 初めまして！読んでいただきありがとうございます。ハピなるになっていただけたようで私も嬉しいです^^他の方の作品あまり読んだことなかったので、チェックしてますね！ (5月28日 3時) (
レス) id: 22e3e6f4b3 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 初めまして、kikoさん、作品とても素敵でキュンキュンです(照)私の友人もプリティーリズムの作品書いてるので良ければ読んで下さい(( (5月23日 4時) (レス) id: 3b8bc56239 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiko | 作成日時：2022年12月13日 12時
