page254 愛おしい笑顔 ページ20
広い車内で小さくなりヒロの到着を待った。座り心地の良いソファだが、何もしないのも落ち着かないので自分の荷物を確認する。その中には今日渡す予定の彼の誕生日プレゼントが入っていた。渡せる勇気が出るだろうか。あんなに素晴らしいショーをする人の足を引っ張ることにならないだろうか。と、私は考え込んで、じっとプレゼントを見つめた。
「おまたせ、何見てるの？」
気づけば高級車のドアは開いており、彼が乗り込んでくるところだった。
彼に見られたことにより、渡さないという選択肢は消え失せる。
疲労を感じさせるため息をつきながら、彼は私の隣に腰掛けた。
心音が、自分の耳にまで届くほどうるさく鳴る。
「ライブ凄く良かったです！」
「ありがとう。Aちゃんとのショーも最高だったよね！お客さんの反応もガラッと変わってさぁ…」
自分の事を褒めてくれているのに、手に持ったプレゼントに意識を持っていかれて上手く反応出来ない。
「私も楽しかったです。…あの、これ良かったら。」
「え？俺に？」
手汗で持ち手が湿っていないか心配だが、彼に紙袋を渡す。
「誕生日、おめでとうございます。」
1番伝えたかった言葉を目を見て言うことが出来ず、少し後悔する。
「まじか…」
思ったより低いテンションの声。嫌な気持ちにさせただろうかと不安に思いもう一度彼に向き直ると、どうしてか口元を拳で抑えそっぽを向く仕草をしている。
表情が見えないので覗き込もうとすると思い切り顔を逸らされる。
「え？どうしました？」
「ちょっと…勘弁して。」
顔を見せまいと逃げ続ける彼に段々私もムキになり、顔を覆った腕を掴んで引き剥がした。
すごく嫌がった表情を予想していたが、こちらを向く彼の顔を見て私は目を丸くする。
「…なに。」
少し赤らめた頬に困り眉。口角が上がり歯を見せたその表情は、いわゆるにやけ顔である。
この人がこんな表情をするなんて。驚き何も言えない私を見て彼は「あぁー…」と声を出しながら片膝を抱えて顔を伏せた。
「そうだよ。嬉しいんだよ。こーゆーの慣れてないからね。」
誕生日のお祝いなんて飽きるほどされていると思っていたのに。意外な一面を愛らしく思えた。
彼は唐突に顔を上げると、
「ねぇ、今開けていい！？」
と子供のように瞳を輝かせ聞いてきたので開けるように促す。
箱を開けてブレスレットを見た途端、触らずにまじまじと見つめていた。
「綺麗だね。Aちゃんが選んだの？」
「はい。ヒロさんらしい色合いだなと思って…」
そう言うとフッと微笑んだあと、穏やかな笑顔で
「ありがとう！」
と応えた。
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kiko(プロフ) - ななしさん» 初めまして！読んでいただきありがとうございます。ハピなるになっていただけたようで私も嬉しいです^^他の方の作品あまり読んだことなかったので、チェックしてますね！ (5月28日 3時) (
レス) id: 22e3e6f4b3 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 初めまして、kikoさん、作品とても素敵でキュンキュンです(照)私の友人もプリティーリズムの作品書いてるので良ければ読んで下さい(( (5月23日 4時) (レス) id: 3b8bc56239 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiko | 作成日時：2022年12月13日 12時
