page253 プリズムスタァ速水ヒロの実力 ページ19
控え室に戻り、暫く演技の余韻に浸りながら呼吸を整えた。
自分の恋愛感情はさておき、彼とショーをするのはとても気持ちが高ぶる。
読書をしている時の、物語の世界に入り込んで戻ってこられないような感覚だ。
魔法にかかったように夢見心地でいたが、ふと思い出してスーツケースの中を漁る。
中にはヒロから貰ったライブのチケットが入っているのだ。控え室の小さなモニターで彼をみているのは勿体ない。チケットを探し出した私は素早く着替えを済ませ再び会場に駆け出した。
チケットに記載されている席はA列5番。
招待客用の席だろうか。おそらく最前列だ。
ライブは終盤、歓声の中会場に入ると、先程まで私も立っていた舞台で歌い踊るヒロの姿があった。パフォーマンスに目を奪われながら、指定の席まで移動する。ダンスをする時の微かな足音、指の先、汗までも味方にする彼を見て声を上げることすら忘れてしまう。
こうして客席から見ているとあまりも遠い存在に感じて私が今からしようとしていることは身の程知らずなのではないかと考え始めた。
無事に公演を終えた最後の挨拶で、彼は息を切らしながらも瞳を輝かせ、感謝の気持ちを言葉にした。黄色い声援。去っていく背中をぼんやりと見つめる。胸に綿を詰められたような満足感が体を熱くした。見渡せば周りもため息をついたりして私と同じような反応をしている。
私は立ち上がり控え室に戻ろうと歩き始めた。体が軽い。ふわふわと飛べそうである。廊下を軽やかな足取りで歩き、彼がステージで歌っていた曲を口ずさむ。プリズムスタァ速水ヒロに夢中になっていたところに、オフモードの彼が現れた。
「その曲気に入ったの？」
控え室から出てきたヒロをみて、心ここに在らずだった私の心が戻ってくる。急に恥ずかしくなり顔が熱くなっていくのを感じた。
「お疲れ様ですヒロさん。」
振り絞ってそう言うと、彼は少し疲れた笑顔で話し始めた。
「一緒に帰る？車出してもらうから乗っていきなよ。今日の車は大きくて広いんだよ。」
「いいんですか？それじゃあ一緒に帰りたいです。」
「おっけー、案内させるから先に行ってていいよ。」
彼はそう言うとスーツを着たスタッフになにやら指示を始めた。暫くすると同じくスーツの中年の男性が現れ車まで案内される。エレベーターで地下まで降り、声の反響する広い駐車場につくと1台横に長い車が目立っていた。
…リムジンである。
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kiko(プロフ) - ななしさん» 初めまして！読んでいただきありがとうございます。ハピなるになっていただけたようで私も嬉しいです^^他の方の作品あまり読んだことなかったので、チェックしてますね！ (5月28日 3時) (
レス) id: 22e3e6f4b3 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 初めまして、kikoさん、作品とても素敵でキュンキュンです(照)私の友人もプリティーリズムの作品書いてるので良ければ読んで下さい(( (5月23日 4時) (レス) id: 3b8bc56239 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiko | 作成日時：2022年12月13日 12時
