page250 プレゼント ページ16
シーズンカップに向けて、テレビ取材を受けることがあった。注目が集まる大会なだけに、私の名も世間に広まっていった。
それと同時に、雑誌に載ったり、バラエティ番組に少し出演したりなど、個人的な仕事も増えてきたおかげで、今の私は金銭的にいくらか余裕があるのだ。
余裕があるので、今日私は、この世界でのハイブランドショップを見に来ている。
お洒落な街にいくつか店が並んでいたが、とりあえず賑わっている店を選んで入る。このような時は静かな店を選ぶのは間違いだ。比較的混みあっている所を選ばなければ、品定めをする前に店員に話しかけられてしまう。客に紛れて流れるように商品を見ていく。
……やはり余裕などなかったかもしれない。
「何かお探しですか？」
死角をついて黒服の綺麗な女性店員が話しかけてきた。どこから現れたのか。ブランドショップの店員は一枚上手なのだろうか。
「えっと…プレゼントを探してまして。」
このお人好し。このような場面で上手く逃げる方法を私は知らない。
「そうでしたか！ちなみにメンズ商品をご覧になられていたと思うのですが、そのプレゼントされるお相手っていうのは男性の方でしょうか？」
「…はい…。」
そうだ。実は片思い中の彼に渡す誕生日プレゼントを探しに来たのだ。高望みはしない。でもせめて、誕生日に贈り物をするくらいは許してほしい。
「そうなんですね。贈り物でしたらアクセサリー類が人気ですよ。財布や鞄は好みのものを当てるのが難しいと、よくお客様からお聞きします。」
確かにそうか。私は彼の事をまだ全然知らない。
それなら、この店員さんの意見は貴重かもしれない。上手いこと逃れようとしていたが暫く店員の話を聞くことにした。
「こちらメンズのアクセサリーでございます。」
ショーケースに入ったそれらはどれも作りがしっかりとしていて、ブランドショップ慣れしていない私は少し怖気付く。
しかし1つ目に止まったものがあった。
それは紐タイプの明るい青色をしたブレスレットで、真ん中に何やら石がついている。パッと見た時に、彼が付けているのが想像出来る物だった。
「あの、これ…」
それから時間が過ぎるのは早かった。先程までショーケース越しに見ていたブレスレットは綺麗にラッピングされ、紙袋に入れられている。
私は流れるように会計を済ませ、頭を下げる何人もの店員に少々申し訳なさを覚えながら店を出た。……買ってしまった。いいと思ったものを全く悩まずに購入した。手元の紙袋を見る。高級感溢れるそのデザインと中の物の重さを感じて、自然と口角が上がる。買い物をして、こんなにも心が踊るのはいつぶりだろう。
page251 バースデーライブのリハーサル→←page249 好きになった人は
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 101人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kiko(プロフ) - ななしさん» 初めまして！読んでいただきありがとうございます。ハピなるになっていただけたようで私も嬉しいです^^他の方の作品あまり読んだことなかったので、チェックしてますね！ (5月28日 3時) (
レス) id: 22e3e6f4b3 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 初めまして、kikoさん、作品とても素敵でキュンキュンです(照)私の友人もプリティーリズムの作品書いてるので良ければ読んで下さい(( (5月23日 4時) (レス) id: 3b8bc56239 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kiko | 作成日時：2022年12月13日 12時
