page249 好きになった人は ページ15
話し終えたあと、全身が熱く火照り始めた。
皆が私の話に納得し、意見交換をしている中、私は1人、自分と戦っていた。
恋愛感情とはどんなものか、ひとつひとつ自分の考えを挙げていたその時、私はあの人の姿を頭に浮かべながら話していたのだ。
耳が痛くなるほど熱い。どうしてあの人が頭に浮かんだのだろう、だなんて言うほど自分の気持ちに鈍感ではない。
あぁ、どうしよう…。
急に頭を抱え俯く私を皆が心配する。
それに応えられるほどの余裕が私にはなかった。
「あれ、みんないる。おつかれさま。…いい匂いするねー。ミナトが作ったのかな?」
聞き馴染みのある声。今、1番聞きたくない声だ。既に脈の速い心臓が更に加速し、私の胸を叩く。
話したい。でも来ないで欲しい。そんな矛盾が生まれ、ぐるぐると頭の中をかきまわる。段々と、足音がこちらへ近づいてきた。
「ん…?Aちゃん、どうしたの。」
声をかけられ顔を上げると、こちらを覗き込む彼…速水ヒロの姿が目に飛び込んでくる。途端、衝撃を受けたかのようにドキンと鼓動が大きく鳴る。
「い、いえ、なんでも…」
上手く話せず、パクパクと余計に口を動かしてしまう。彼の目を見続けることが出来なくてすぐに顔を逸らしてしまった。なんという事だ。本当に、大変な事態である。こんなトップスタァに私は、私は、恋心を抱いてしまったのだ。
「んー…?カケルぅ、Aちゃんいじめたでしょ。」
「うえぇ!?そんなことしてないですよおん!」
冗談交じりの会話にその場が明るくなる。私はそれでも落ち着かず、席を立とうとした。
「わ、私ちょっと…」
「Aちゃん。今日の夜空いてる?」
「え。」
「衣装の話をしたくてさ。どこかで時間作れないかな?」
「あ、はい。もちろん。じゃ、じゃあ夜にまた。」
その勢いのまま、私は食堂を出た。不自然だっただろうか。それでも今、ようやく息が出来た気がする。あのまま食堂に居続けていたら、どうなって居ただろう。こんな様では、彼への気持ちにすぐ気づかれてしまっていたに違いない。
……そう、気づかれてはいけないのだ。
彼はプリズムスタァ。沢山のファンに愛され、様々な場面で引っ張りだこのトップスタァだ。そんな人の邪魔は決してできない。
この身勝手な感情には蓋をしなければならない。
私は強く思った。しかしその思いとは裏腹に、胸が苦しいと悲鳴をあげる。どうして彼を好きになってしまったのだろう。私はこの恋に気がついたと同時に、酷く悲しくなった。
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kiko(プロフ) - ななしさん» 初めまして!読んでいただきありがとうございます。ハピなるになっていただけたようで私も嬉しいです^^他の方の作品あまり読んだことなかったので、チェックしてますね! (5月28日 3時) (レス) id: 22e3e6f4b3 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 初めまして、kikoさん、作品とても素敵でキュンキュンです(照)私の友人もプリティーリズムの作品書いてるので良ければ読んで下さい(( (5月23日 4時) (レス) id: 3b8bc56239 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiko | 作成日時:2022年12月13日 12時