検索窓
今日:17 hit、昨日:14 hit、合計:5,711 hit

page247 渡された楽譜 ページ13

ヒロとのショーの為、練習を続ける私だったが、同時進行で進めなければならないものがあった。

「シーズンカップの話なんだが。」

呼び出された礼拝堂で、氷室主宰がそれを話し始めた。

「是非…君に使って欲しい曲があってね。」

そう言うと彼は近くに置いていた楽譜を私に見せた。題名の欄には『 nth color 』と書かれている。

「この曲は……?」

そう問うと彼は暫く黙り、どことなく切なそうな表情をした。

「君は不服かもしれないが、少し、試してみたいんだ。」

「試す…?」

「君ならこの曲を表現出来る…何かきっかけを生み出すことができるかもしれない…そう思ってね。……すまない。私の我儘だ。聞き入れてもらわなくても構わないよ。」

神妙な面持ちでそう言われ、私はまた楽譜に目を通す。いつも凛とした彼の弱々しい部分を見たのは初めてだった。主宰、というより、氷室聖という1人の人間として依頼をしている。そう感じた。

「分かりました。これで練習してみます。」

「本当か……?無理にとは言わない!変更したくなったら、いつでも相談してくれ!」

「はい、そうします。でもこの曲、私もやってみたいなと思ったので。」

笑顔で応えると、彼はようやく安心した表情で感謝を伝えてきた。深くは聞かなかったが、彼の中ではとても重要なことだったのだろう。そう判断した私は彼の願いを快く受け入れることにした。
礼拝堂を出て、寮へと続く通路を、私は寮の外観や花壇を見ながらゆっくりと歩く。
この場所で過ごし始めてから、かなり経ったなぁ。そんなことをふと思いながら、吹き抜ける風に当たっていたその時、どこからか私を呼ぶ声がした。そちらを向くと、全力で手を振る一条シンと、西園寺レオの姿が見えた。

「Aさーん!!一緒に休憩しませんかー!」

何やら楽しそうな予感がする。私は彼らの誘いを受け、そちらへ駆け出した。

「さ、皆の為に作ったから、沢山食べてね。」

誘われるまま食堂に着くと、鷹梁ミナトが寮生たちへ手作りのお菓子を用意していた。
皆瞳を輝かせ、テーブルに並べられたクッキーやマフィンなどを見つめる。

「やっぱおやつタイムにも、ミナトっち大活躍だねぇん。」

「どれも美味しそうですー!」

『 いただきまぁす!』

毎度、子供のようにはしゃぐ彼らを見ているとクスリと笑わずには居られない。かくいう私もコウジやミナトが出す手料理には心が踊るのだが。

page248 恋愛感情→←page246 ずるい人



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
101人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

kiko(プロフ) - ななしさん» 初めまして!読んでいただきありがとうございます。ハピなるになっていただけたようで私も嬉しいです^^他の方の作品あまり読んだことなかったので、チェックしてますね! (5月28日 3時) (レス) id: 22e3e6f4b3 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 初めまして、kikoさん、作品とても素敵でキュンキュンです(照)私の友人もプリティーリズムの作品書いてるので良ければ読んで下さい(( (5月23日 4時) (レス) id: 3b8bc56239 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:kiko | 作成日時:2022年12月13日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。