page246 ずるい人 ページ12
ーAsideー
あれからほぼ毎日、私はヒロさんと一緒にいる。
一緒に振り付けを考え、休憩をし、沢山の言葉を交わした。そして今も、私達はダンスの稽古をしている。踊り疲れた彼の首元には、汗が流れていた。私はタオルを手に取り、その汗を拭いてあげようと近づく。
「あの、汗が…」
「えっ。」
彼はビクッと驚いた反応を見せる。
「あ、ごめんありがとう…。」
タオルを受け取り、暫く固まっていた。その様子が気になり彼を見つめていると、向こうもこちらを見つめ返してきた。
また、この空気だ。一言も喋らない静かな間。
気恥ずかしくなって目をそらすまでそれは続くのだ。その状況が、この間の彼の言葉を思い出させる。
『あぁ、俺も好きだよ。』
私が言ったライトアップのことだとは分かっている。でもあまりにも、こちらをまっすぐ見て言うものだから、ほんの少しだけ勘違いしそうになったのだ。
「Aちゃんて、結構ずるいことするよね。」
「ずるい…？」
「うん、ほんと困るよ。ダメじゃないけど。」
彼が何を言っているのか、よく分からない。
「えっと…ごめんなさい…」
「あぁいや、気にしないで！全然なんでもないから！何言ってんだ俺って感じだし。」
なんだか最近の彼はアタフタしているように見える。あまり目を見て話してくれないし、何かしてしまったのかもしれないと心配になる。
「あの…」
「そ、そういえば提案なんだけど、この曲、俺のライブで披露するのどうかな。」
「え！？」
唐突過ぎて驚きが隠せない。そんな大事な場面で披露するだなんて、本気で言っているのだろうか。
「ヒロさん！そんな、私が出ていい場面じゃ…」
「Aちゃんは仮面とかしてさ、そういう演出もありだと思うんだよね。１つの劇みたいで。」
なるほど、あくまで演出。私が顔を出さないことで観客の視線は彼に集まる。私はダンサーのような扱いになるのだ。
「良いとは思うんですけど…でもいいんでしょうか…。」
「Aちゃんと俺なら、めちゃくちゃいいショーが出来ると思ったんだけど、違うかな？」
優しい口調。しかしＮＯと言わせない言い回し。
ニヤニヤと笑う彼を私は少し睨みながら笑って応える。
「分かりました。まったく、ヒロさんの方がずるいんじゃないですか？」
そう言うと彼は大笑いした。
「そうかもしれないね！」
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kiko(プロフ) - ななしさん» 初めまして！読んでいただきありがとうございます。ハピなるになっていただけたようで私も嬉しいです^^他の方の作品あまり読んだことなかったので、チェックしてますね！ (5月28日 3時) (
レス) id: 22e3e6f4b3 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 初めまして、kikoさん、作品とても素敵でキュンキュンです(照)私の友人もプリティーリズムの作品書いてるので良ければ読んで下さい(( (5月23日 4時) (レス) id: 3b8bc56239 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiko | 作成日時：2022年12月13日 12時
