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page245 かっこつかない自分 ページ11

店員に、それぞれ選んだケーキと紅茶を注文し、また談笑をする。今彼女は、この2人きりの状況で何を感じているのだろうか。あわよくば、同じ気持ちであって欲しい。そう願う自分がいる。

「お待たせしました。」

そう言って注文したスイーツを運んできた店員に、優しく感謝の言葉を伝えるA。店員が去るまで、テーブルに置かれたスイーツをじっと見つめていた。

「そんなに見つめたらパンケーキに穴空いちゃうよ。」

面白くなりそうからかうと、恥ずかしいのかあたふたし始める。俺はその様子に笑いながら、ケーキを半分に切り分けた。半分の中でも、比較的大きい方を取り皿に分け、Aに渡す。

「はい。半分こね。」

「あ、私のも!半分どうぞ。」

ニコッと笑い合う。何気ない会話なのに、どうしてか暖かい空気が生まれる。

「おいひい。」

美味しい、のだろう。パンケーキを頬張りながら彼女はそう言った。

「お気に召したかな?」

俺のその問いに何度も頷いて応える。

「ヒロさんのも美味しいですか?」

「うん!Aちゃんも早く食べなー?」

正直、心臓がうるさくて味など分からない。
まったくこんな感情は初めてだ。
ため息が出るほどに、彼女が愛おしい。
しかし人間とは感情にそぐわない行動をするものだ。
時折じっとこちらを見つめられると目を逸らしてしまう。この膨れ上がった想いが、伝わらないように。
彼女はそんな俺を見て不思議に思うのだろう。

「ヒロさん、あの植物ライトアップされてますよー?私、ああいうの好きなんです。なんだかリッチな気持ちになりません?」

目を合わせなくてもいいような話題に切り替えてくれている気がする。
自分より歳下の女の子にそんな気を遣わせている事が申し訳なく、情けなく感じた。
それと同時に、自分の好意がバレているのではないかという焦燥感が生まれる。
途端に思考回路を切りかえ、敢えて彼女の目をしっかりと見るように心がけた。

「あぁ、俺も好きだよ。」

周りの環境音が遠く聞こえる。目を逸らさないと決めたばかりに、黙ってこちらを見つめる彼女から目を離すことができない。
少し食い気味に言いすぎただろうか。どうして彼女は黙っているんだ?ぐるぐると様々な感情が渦巻く。

「ヒロさん…耳赤いですよ。暑いですか?」

「えっ。」

慌てて耳を触る。確かにそれは熱を帯びていた。

「ああまぁ…そう!ちょっと暑くて!」

ああもう。どうして1番カッコつけたい相手の前では、こんなにも上手くいかないのだろう。

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kiko(プロフ) - ななしさん» 初めまして!読んでいただきありがとうございます。ハピなるになっていただけたようで私も嬉しいです^^他の方の作品あまり読んだことなかったので、チェックしてますね! (5月28日 3時) (レス) id: 22e3e6f4b3 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 初めまして、kikoさん、作品とても素敵でキュンキュンです(照)私の友人もプリティーリズムの作品書いてるので良ければ読んで下さい(( (5月23日 4時) (レス) id: 3b8bc56239 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kiko | 作成日時:2022年12月13日 12時

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