page236 お祭り ページ2
ーAsideー
夕方から賑わう街。どこからか聞こえる太鼓の音に、神輿を担ぐ若者達の声…。
「おー!始まってるねん!」
隣で同じように気分が高まったカケルがそう言った。
「屋台もある…!」
「そ、結構本格的でしょう?ここの街並みを上手く利用して、屋台の配置も考えられてるから、効率よく回れるし外観も…」
「ヨーヨー釣りだ!」
「あ、ちょっ、Aさん!」
私の世界にも、祭りは存在した。とはいえシスターの元で育った私は参加する機会がなかったのだ。
テレビで見た祭りの景色が、今目の前に広がっている。我を忘れ、子供のようにはしゃぐ私の後を、カケルが必死に追いかけてきた。
「そ、そんなはしゃぐかなぁ!?」
「カケルくん、私これやってみたい!」
「ヨーヨー…?い、いいんじゃにゃい?やり方分かる?」
説明を受け、いざ実践しようとしたその時、
「Aちゃん。」
隣から小声で声をかけられた。そちらに振り向くと、キャップを被りマスクをし、黒いメガネをかけた男…いや、変装姿の速水ヒロがそこに居た。
「え、ヒロさ…」
「あー、名前は呼ばないで貰えると…。」
お忍びで訪れていることまで頭が回らなかった。
すみませんと謝ると、彼の目元は笑みの形に変わる。
「僕もお祭りってあんまり来たことないんだ。だから楽しくってさ。」
ヨーヨーの浮いている水面を見つめながら彼は言った。
「せっかくだし、勝負しようよ!どっちが多くヨーヨーを釣れるか!」
きらきらと輝く瞳で勝負を挑まれた。私も楽しくなり、その勝負を引き受ける。
「望むところです…!」
それから暫く、ヒロとヨーヨー釣りの勝負を楽しんだ。
「もー…どーするんですかそんなに釣ってきて!」
大量に釣れたヨーヨーを持った私とヒロに、カケルが呆れた言い方をする。
と言っても、主にヒロに対して言っているのだろう。勝負は完敗。ヒロが何個も釣れているのに対し、私は1個が精一杯だった。
「いやぁ。何でも出来て困っちゃうよ。」
「次は、負けないので…。」
「いやもう勝負とかしないでください。」
思い切って引き受けた勝負に完敗し、私は悔しい思いをした。
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kiko(プロフ) - ななしさん» 初めまして!読んでいただきありがとうございます。ハピなるになっていただけたようで私も嬉しいです^^他の方の作品あまり読んだことなかったので、チェックしてますね! (5月28日 3時) (レス) id: 22e3e6f4b3 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 初めまして、kikoさん、作品とても素敵でキュンキュンです(照)私の友人もプリティーリズムの作品書いてるので良ければ読んで下さい(( (5月23日 4時) (レス) id: 3b8bc56239 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiko | 作成日時:2022年12月13日 12時