煌めきを君に4

page182 無力 ページ42

鎖骨の下辺りに何かがある。服をぐっと下に引っ張ると、あのあざが広がっていた。今までとは比べ物にならない程、濃く、大きくなっている。

「は……？」

相変わらず触っても痛みは感じない。しかし、最初はひし形だったこのあざが、そこから根を張るように…いや、羽のように伸び、形を変えてきている。

「気持ち悪い…」

思えば、記憶が蘇る度にあざが変化していった気がする。
爪を立ててあざを引っ掻いてみる。何度かいても、強くかいても、いっこうに消える気配はない。歯を食いしばり、その場にへたり込む。何をしても上手くいかない。いとの誤解も解けず、自分が何者なのかも分からない。
知ろうとした結末がこれだ。まるであざに、知るなと警告されているようだった。

「何ムキになってるんだか…。」

記憶の中の自分は教会のシスターの元で育った。ならば帰る場所はそこなのだろう。オーディションに受かったということは、アイドル活動もしていたはず。行方不明として、色々な人に迷惑をかけているかもしれない。ただ、何かが…何かが自分の中で引っかかっていた。なんとなく、どれだけ探してもその教会が見つかる気がしないのだ。

「どうすればいいの…。」

学校にまた通いたいわけじゃない。教会に帰りたいわけじゃない。どうしたらいいか分からない。ただ…このあたたかい空間を、プリズムショーを、手離したくなかった。

私は……ここにいたい。

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