page162 霞がかった記憶 ページ22
ーAsideー
バチンという音とともに、視界がぐにゃりと歪んだ。近くで名前を呼ばれた気がしたが、意識がもうろうとして声も出ない。目の前が真っ暗になり、周りの音も聞こえなくなった。
気がつくと、どこか見覚えのある風景が広がっていた。ここは…教室だ。顔はよく見えないが、あちらこちらで制服を着た生徒達が楽しそうに会話している。
「で、応募できたー?」
「うん、したよ〜。……がしろってしつこいんだもーん!」
「だって……は可愛いから!ドラマに出てる女優よりレベル上だよー!」
なんだろう。5人の生徒達がAの周りで話している。名前はよく聞き取れない。
「そんなことないって〜。あ、じゃあ皆も応募してよ!私だけじゃ寂しいでしょ〜?」
話の中心にいるリーダー格の女子は、胸元まである茶色い髪を指でくるくると巻きながら提案をした。
「何言ってんの!私らじゃ無理に決まってるじゃん、……なんて。」
「えぇーそんなぁ。Aなら受かりそうだけど〜?」
その言葉に、自分の意志とは関係なくAは口を開いた。
A「無理無理。絶対無理だって。」
「とりあえず皆応募しよ!ね!いいでしょお?」
茶髪の女の子が手を合わせてみせた。こんなに近くにいるのに、顔がわからないのが不思議である。それに勝手に話し出す。
あぁ、そうか。これは夢なんだね。
夢と気づいて全てを諦めた。夢の中では自分の意思で行動できない。見守るしかないのだ。
「まぁ……が言うなら、ね。」
渋々という感じだが、皆指示に従うようだ。まだ話は続きそうなのに、だんだんと視界が暗くなっていく。それと同時に女の子達の声も聞こえなくなる。
また暗闇か。そう思った途端、
「意味わかんないんだけど!」
あの女の子の怒鳴り声が聞こえた。バチンと音がして、暗闇から解放される。だが、頬に痛みを感じた。
「なんでこいつが受かってんの!?」
目の前で、怒り狂った彼女が拳を握っている。
叩かれたのだろう。拳ではなく、平手打ちで。
他の4人は、何も見なかったかのように彼女の一歩後ろで目を逸らしている。
「あんた、何か仕組んだんでしょ!じゃなきゃ私が落ちるわけないじゃない!」
何に対して怒っているのかは分からないが、この状況が理不尽であるということはよく分かる。それでも、夢の中の自分は一切反抗しない。
いや……そもそもこれは本当に夢なのだろうか…?
page163 誰も信じられない→←page161 爆発した怒り
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kiko(プロフ) - コノミさん» コノミさん、いつも読んでくださりありがとうございます!本当ですか!とても嬉しいです励みになりますッッどうぞこれからもよろしくお願いしますね♪ (2020年4月9日 18時) (レス) id: 92cacadd3e (このIDを非表示/違反報告)
コノミ(プロフ) - めちゃくちゃずっと読んでてめちゃ胸キュンします!!このシリーズは大好きなので 頑張ってください! (2020年4月9日 0時) (レス) id: c314281d85 (このIDを非表示/違反報告)
kiko(プロフ) - えぃかさん» えぃかさん、読んでいただきありがとうございます!好みッッとても嬉しい褒め言葉です……まだまだ下手な文章ですがこれからも見ていただけると嬉しいです♪ (2020年2月11日 2時) (レス) id: 92cacadd3e (このIDを非表示/違反報告)
えぃか(プロフ) - めっちゃ好みの小説です!!続き楽しみにしてます!更新頑張ってください!! (2020年2月11日 1時) (レス) id: 12b917d369 (このIDを非表示/違反報告)
kiko(プロフ) - いちごみるくさん» いちごみるくさん読んで頂きありがとうございます!そう言ってもらえて光栄です……(><)嬉しいです頑張ります! (2020年1月13日 14時) (レス) id: 92cacadd3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiko | 作成日時:2019年3月24日 2時