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page91 甘い香り2 ページ43

ーAsideー

ヒロはそっとAの肩に手をおいた。

A「あの…」

言葉を発するより早くヒロの顔がぐっと迫ってきた。

A「!?」

驚いてとっさに目をつぶる。その時、自分の髪がサラサラと動いているのが分かった。

ヒロ「ああ、やっぱり。」

そっと目を開くとヒロはもう離れており、彼は腰に手をあてていた。

ヒロ「何か食べてきた?」

A「え?」

決して怒っているわけではなく、とても不思議そうな顔をしているヒロに向かってAは口を開いた。

A「夕食…ですか?」

ヒロ「違う違う〜。なにか甘いもの。ケーキみたいな甘い匂いがするんだよね。髪の毛辺りから。」

A「髪!?」

ああ、さっきのあれはそういうことだったのか…
ただ匂いを確認したかっただけか。全く…ビックリさせないでよ…

A「ああ、えっと…マフィンを…」

ヒロ「マフィン?コウジが作ったの?」

A「いえ…その…公園で会った女の子に。」

それを聞いたヒロは目を丸くする。

ヒロ「ええ!?だ、誰その子!?」

心配になったのか、声のボリュームが増したヒロに同じ口調で答える。

A「福原…あん、ちゃん。です…」

ヒロ「あんちゃん!?」

またもやボリュームがアップしたヒロは動揺を隠しきれない様子。

ヒロ「あんちゃんに会ったのか…うーん…大丈夫かな…」

A「お知り合いなんですか?」

問いかけるといつも通りの笑顔を向けてきた。

ヒロ「ああ。知ってるよ。ただ問題な事があるんだ…。」

再び暗い顔をしてしまったヒロを見てもう一度尋ねる。

A「問題…って…?」

ヒロ「いや、Aちゃんは大丈夫。コウジがね。」

コウジさん………?
オバレも人間関係複雑なのかなぁ…

ヒロ「でも、友達になったのか?あんちゃんと。」

A「友達…なのかは分かりませんが…」

ヒロ「良かったじゃないか。」

良かった…?

ヒロ「ここに来て女の子と関わることなかったもんね。」

ヒロが気にかけていてくれた事が分かり、
なんだか嬉しくなってしまった。
Aはにこりと笑顔を向けて返事をした。

A「はいっ。」

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作者名:kiko | 作成日時:2018年7月1日 16時

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