page52 拒否 ページ4
コウジ「Aちゃんっ！用意できたかな？」
ドア越しに話しかけると少し慌てたような声がかえってきた。
A「あっ、はい…！」
昼食を済ませたコウジとAは商店街に出掛けることになった。何もプランを考えていないのだが………
A「すみません、お待たせしました…」
部屋から出てきた彼女の格好は、いたってシンプルな服に…コートを持っていた。
コウジ「大丈夫だよ。行こうか。」
変装をしていてもバレる可能性がある。
と、なるとこの状況は…
まずいかもしれない………
コウジ「(そうだ。マネージャーなんだから
言い訳できるな。でもマネージャーに見えるか？)」
Aの外見からしてマネージャーには見えない。コウジの正体がバレた時のことを考えると、一大事になりそうだ。
コウジ「………よし、洋服を買おう。」
A「え、あ、はい。」
商店街に着くと、比較的落ち着いた洋服屋に入る。大人っぽいデザインが多い店だ。
コウジ「そうだな………(めが姉さんみたいな格好なら…)」
Aの服をコウジが選ぶという謎の現象が起きているが、Aは気にしないことにした。
コウジが最終的に選んだのは、オシャレなシャツにタイトスカート。プラス黒縁の眼鏡だった。
コウジ「これに、着替えてもらえるかな。」
A「わかり…ました…」
現状がよくわかってないみたいだけど…説明は後回しだね。
Aが着替え終わると、上から下までチェックし微笑んだ。
コウジ「うん！オッケー。じゃあそれそのまま着ててくれる？」
A「えっ…このまま…ですか…」
コウジ「マネージャーに見せかけたいんだ。お願いっ…」
顔の前で手を合わせAを見つめると、
そういうことなら…と頼みを聞いてくれた。
会計が終わり、また商店街を歩く。一瞬隣にいるのが誰なのか分からなくなってしまいそうだった。
コウジ「寮で生活してて困ってることとかない？」
A「あっ、充分です…！」
ものすごい気を使われた気もしなくもないが…
コウジ「そうか。じゃあ何かアクセサリーでも見る？」
A「あ…はい。」
口元は少しだけ笑っているが、瞳の奥は笑っていない。この表情は初めて会った時から今だ変わっていない…
Aはアクセサリーのたくさん売っている店に入ると、興味はあるのか自ら商品を眺めた。
コウジ「………何か気になる物があったら遠慮なく言って。ネックレスとかどう？」
普通に尋ねただけだったが、彼女は真面目に答えた。
A「ネックレスは…あるので大丈夫です。」
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作者名：kiko | 作成日時：2018年7月1日 16時
