page54 勢い ページ6
ーAsideー
いきなりコウジさんと出掛けることになり少し不安だったが、思ったより気を使ってくれるいい人だった。
初めから優しそうな雰囲気があったが、何か裏がありそうで関わりずらかったのだ。
コウジ「それで、どうして３人でいると楽しいかなんて聞いたの？」
A「えっ………」
Aは浜辺での出来事を思い返していた。ヒロは３人でいることにまだなれていない
とか、不安になると言っていた。その言葉が自分のどこかでずっと引っ掛かっていたのだろう。
A「…いや、いつも楽しそうなので。」
事実は言わずに、適当な理由をつけて流した。コウジもあまり気にしていない様子。
コウジ「そっか。Aちゃんももっと会話に入ってきていいんだからね？」
優しくかけられたその言葉にAは小さくうなずいた。
コウジ「ただいま〜…っと。」
寮に帰ってきたのは夕方。ヒロの仕事もそろそろ終わるはず。
Aはヒロの姿を探した。おそらくまだ帰っていないのだろう。仕方なく部屋でじっと待つことにした。
しばらくすると廊下から声が聞こえてきた。
A「………っ！」
声の主が誰か分かり、ドアをあける。
目に映ったのは…
A「ヒロさんっ……」
ヒロ「わっ、ビックリしたぁ…お帰り。」
仕事から帰ってきたばかりのようで服も外出着だった。
ヒロ「…どうしたの？」
優しく笑いかけてくるヒロに理由を説明しようとした時…
A「(あれ。なんか用事あったっけ…)」
自分の行動に特に意味も無かったことに気付き、ゆっくりとドアを閉める。
A「あは………なんでも…ないです…」
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作者名：kiko | 作成日時：2018年7月1日 16時
