page74 新たな挑戦 ページ26
ーコウジsideー
Aちゃんの完璧なメイクで僕たちオバレは大変身を遂げた。イベントの日もAちゃんにお願いしよう。
夕方になり、女装はやめ料理を始める。
コウジ「今日は…ムニエルでも作ろうかな。」
料理をしながらコウジは彩瀬なるとの会話を思い出していた。
あの曲…僕の作った歌を、Aちゃんはどう表現するんだろう。
台所が良い匂いに包まれた頃、出来上がった料理を次々と部屋に運ぶ。
匂いにつられたように、カヅキもヒロも部屋から出てコウジの部屋に向かう。
コウジ「あ、２人とも。ちょうど出来たところだよ。」
ヒロ「それは分かるさ。」
カヅキ「すげーうまそうな匂いすんだもん。」
ふふっと微笑み部屋に入ると、そこにはまだAはいなかった。
コウジ「あれ…夕飯が冷めちゃうね。ちょっと呼んでくる。」
パタパタと足音を鳴らしながら、Aの部屋に向かう。
コウジ「Aちゃん？ご飯だよ。」
いつもの返事が返ってくると思っていたが、いくら待っても返事がない。
コウジ「Aちゃん…？」
…………やはり彼女の声は聞こえなかった。
しかたなくドアノブを握り、そっとドアをあける。すると、床で倒れているAの姿が。
コウジ「！？Aちゃん……！？」
慌ててかけよりAの身体を起こす。
何度も声をかけると、彼女の目がゆっくりと開いた。
A「…？」
ほっと息を吐き、Aに話しかける。
コウジ「ビックリした……寝てたのか。何かあったのかと…」
A「あ、え…すみませんっ、もうこんな時間…」
コウジがここに来た理由は何も言わずとも分かったようだ。
………なかなか２人きりになれることってないよな…よし…
コウジ「Aちゃん。」
立ち上がろうとしていたAを呼び止め、そのままコウジは続けた。
コウジ「良かったらなんだけど…僕の作った曲で、君にショーをしてほしいんだ。」
A「え…」
Aは目を見開いたまま静止した。
コウジ「だめかな？」
A「え、だめじゃないです。その…むしろ嬉しいです…ありがとうございます。」
少し照れながらAは答えた。その言葉にコウジの表情もパッと明るくなった。
コウジ「本当？ありがとう！明日楽譜持ってくよ！よし、じゃあご飯食べに行こうか。」
コウジはAの手をとり部屋を出た。
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作者名：kiko | 作成日時：2018年7月1日 16時
