page59 幽霊? ページ11
ーAsideー
とうとう本番の3日前になった。練習も本番を意識した練習になり、いよいよラストスパートというところだ。
ヒロ「流れはここの部分でジャンプ、ここでステップを踏んでポーズで終わり。あとは………」
全体の流れを理解し、曲で通してみる。
ヒロの指示を聞きながら全て完璧にこなした。
ヒロ「うん。オッケー!完璧だよ!この調子で明日も頑張ろうね。」
A「はい…!」
いつもより少し元気に返事をした。するとヒロもニコリと笑顔を返してくれた。
レッスン室からの帰り、廊下を歩いていると、どこからか変な声が聞こえてきた。
「…タン…」
A「!?」
周りを見渡すが誰もいない。気のせいだろうか…
なんだか怖くなって速足で部屋に戻った。
次の日も、またその声が聞こえた。何かの鳴き声のようにも聞こえるが、明らかに猫や犬ではない。
A「……(未知の…生物…)」
いやいやいや。変な方向に考えるのはやめよう。明後日は本番なんだから…
首を横にぶんぶんと振り気にしないことにした。…その時、歩いていた足に何かが当たった。
A「きゃっ…!」
思わず悲鳴をあげ、とっさに口をふさぐ。
しかし足下には何もなかった。
多分蹴り飛ばしたんだろうな…
「あれ、今上の方から、悲鳴聞こえなかったか?」
「え?悲鳴?」
「ああ。太刀花先輩は聞こえなかったっすか?」
「なになに〜?もしかして幽霊〜?」
寮生達がいることが分かり、走って部屋に逃げ込む。するとやはり2階にあがってきた。
「ちょっとタイガきゅ〜ん。やっぱ誰もいないじゃにゃ〜い。本当に聞こえたの?」
「…?確かに聞こえたはず…」
「だいたい!この寮は男子しかいないんだから。悲鳴あげる人なんていないよ。」
ドアに耳をあて盗み聞きしているとだんだんその声は遠ざかっていった。Aはホッと息をはいた。
A「だめだぁ…集中しないと。」
練習できるのはもう明日だけ。切り替え切り替え!
Aはそう自分に言い聞かせた。
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作者名:kiko | 作成日時:2018年7月1日 16時