煌めきを君に

page8 警戒2 ページ8

「おーい！Aちゃん。お迎えにあがったよ。」

突然声がかかり、Aは慌てて準備する。

A「あっ。はい………」

ドアを開くと、そこには爽やかな笑顔をした男がたっていた。

ヒロ「ごめんねっ、コウジが良かったかな？あいにくコウジは手がはなせないみたいでね。」

ヒロはAの様子をうかがうように話した。さっき迎えにくると言っていた神浜コウジの姿はそこにはない。
大丈夫ですと答え、彼のあとにつづく。

ヒロ「食堂には人が集まることが多いから、なるべく出入りは避けた方がいいよ。それから……」

歩きながら、他の寮生と接触しない方法を教えてくれた。しかし、この寮にはあまり生徒がいないようで、会う確率は低そうだ。
でも、油断大敵である。常に周りを見ていなくては……そんな事を考えていると、お風呂にたどり着いた。

ヒロ「はいっ。着いたよ。帰りはどうする？迎えに来ようか？」

A「いえっ。大丈夫です…」

ヒロ「そうか。それじゃ、ごゆっくり。」

そういって彼は廊下の向こう側に姿を消した。
脱衣場に入ると思っていたより広く、綺麗にしてあった。男用なら、もっと荒れているかと思ったが……。とりあえず運がよかったということで。さっそく中に入っていった。

１人で広々とした風呂を堪能し、あがる頃にはもう就寝時間になる時間だった。慌てて外に出た瞬間、

A「…(あれ。道忘れた……)」

自分で大丈夫と言っておきながら情けない………そう思いながらなんとなくで歩いていく。
キョロキョロと周りを見渡しながら、寮生とも会わないように慎重に進む。すると、

「ほら。やっぱり迷ってる。」

急に後ろから声がかかり、とっさに振り向く。

ヒロ「強がりさんだね、遠慮しないで頼っていいんだよ？ほら、そっちじゃなくてこっち。おいで。」

馬鹿にしたような、でもすごく優しい目でAを見ているヒロにすごく安心して、一気に力が抜けた。

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