煌めきを君に

page35 緊急事態 ページ36

どこからか聞こえてくる声は、Aの知っている人の声ではなかった。オバレでもない、聖でもない。となると…

A「ま、まさか、寮の生……」

言いかけたところで、後ろから足音が聞こえた。バタバタと走ってくる。慌てて振り返ると

「隠れて！」

グイッ

身体ごと抱きよせられ、近くの柱の裏側に身をひそめた。頭までおさえられて、誰かよく分からない。

「………今日のレッスンもきつかったね。」

「そうっすね〜。でももっと頑らないと、先輩方のようなプリズムスターにはほど遠いよん。」

「自分も精進しなければ。」

何人かの生徒が角を曲がったようで、足音も遠退いていく。すると、かかっていた力が弱まった。

「危なかったね………。」

顔をあげるとそこにはヒロが立っていた。………ものすごく近い距離に。

A「ひ、ひひヒロさん、どうしてここに………」

ヒロ「今コウジに会って、カケル達が食堂から出ていったばかりだと聞いてね。もしかしたら、Aちゃんの姿見られちゃうかと思って、追いかけてきたんだよ。そしたら案の定ギリギリセーフだったね。」

わざわざ走ってきてくれたんだ………

A「ありがとう…ございます………」

赤面しながらお礼を言うと、ヒロはにっこり笑い、「どういたしまして」と言い離れていった。

ヒロ「それじゃ、気を付けてね〜。グンナイ。」

そう言うとヒロは自室へと向かっていった。

最近距離近くないか、あの人………

どことなく顔が熱い。

A「ほんとにアイドルだよね………」

Aは思わず口にこぼした。

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