煌めきを君に

page18 練習場 ページ18

今日も何事もなく終わっていく。

……………と思っていたけど。

ヒロ「Aちゃん。スケートは滑ったことある？」

A「え？」

買い物から帰って来てすぐ、ヒロにそう尋ねられた。

A「……………えっと………(思い出せない……………)」

記憶が消えているので、何をしたことがあるのかもわからない。ここは正直に言った方がいいかな………

ヒロ「アハハ！ごめんごめん、思い出せないよね。じゃあ、やってみようか。今ちょうど誰も使ってない時間だし。」

A「え………？」

いやいやいや、急にスケートしようなんて言われても……………あ、この間オバレの３人がやってたみたいにかな？いやでも………

ヒロ「ほら！俺についてこい！」

ヒロはノリノリでAの手を引っ張る。
どうやら本気のようだ……………

練習場に着くと、ヒロはシューズを手渡した。
少し小さめのサイズで、ちょうどAの足の大きさと合うくらいだ。

ヒロ「さぁ、滑ってみようか。大丈夫！手、繋いでてあげるから！」

手………手！？あ、アイドルだよねこの人……………
でも転ぶのは嫌だし………

恐る恐るリンクに足を踏み入れる。転びそうになったが、ヒロが体勢をたてなおしてくれた。

ヒロ「ふふ、その調子その調子。」

この人達この上で踊ってるんだよね……踊る………か……

ヒロ「リズムよく、１、２、１、２。そうだ。ちょっと待ってて。」

そう言って彼は、１度リンクから離れた。すると、楽しげな音楽が聞こえてきた。

ヒロ「音楽があれば、自然と気持ちが高ぶるものさ。ほらっ。」

ヒロに手を引かれて再び滑りだす。
音楽があるだけで、楽しさが全然違う。すると
自分の中で、何かが動き始めた。何とも言えない感覚………この感覚は、以前にも感じたことがあったのだろうか。 足元がさっきより軽い。



流れているのは……そうだ。オバレのショーで聴いた曲。歌詞が頭の中に流れ始めた。

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