さいきょうのふたご【CR】

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次のシーンは、離婚して僕をお父さんが日本に連れて行こうとした所。




まだ8歳の僕はお父さんに敵わなかったが、お姉ちゃんは身体中アザだらけになっても戦おうとしてくれた。




もういいから、もう僕が行くから、身体を傷付けないでって頼めば、ごめん、こんな姉でってカタコトで謝って、眠るように倒れた。



倒れたお姉ちゃんを助けにきた母が、


「또 봐、다음에 만나면 웃고 많이 이야기하자.(また会おうね、次会ったら笑ってたくさん話そうよ)」

「情けない母親でごめんね。辛いことがあったら、いつでも来てね。」



そう言ってくれた。



『…고마워,너무 사랑해요 엄마 (ありがとう、とても愛してる 母さん。)』



地道に調べて、発音できるように頑張った韓国語。


まだ何となくしか分からないけど、お父さんにバレないように、少しずつ練習した。


うまく伝わったのかはわからないけど、


「나도 많이 좋아해(私も大好きだよ)」


ふんわりと笑って言ってくれたから、きっと伝わったと僕は信じる。


お姉ちゃん、母さん、ごめんね。




…それから10年後、18歳。


お姉ちゃんが日本に遊びに来てくれた。


お姉ちゃんは昔とあんまり変わらなかったから、すぐわかった。


『…お姉ちゃん？』


「……ぉわっ、誰かと思った！背、高くなった？」


『男子の方では小さい方だけどね。いつの間にか抜いてたんだねぇ』



久しぶりにあったお姉ちゃんとたわいもない話をした。


お姉ちゃんはあの時よりも日本語が上手になっていた。

日本人に負けないくらいに。


『お腹すいたでしょ、オススメのお店連れてったげる』

「あ、ほんと？楽しみ！」


僕がお姉ちゃんの背を追い抜いてしまったからなのか、


それとも、お姉ちゃんが慣れない場所にいるからか、


はたまた別の理由か、そのどれもかはわからないが、


あの時大きかったお姉ちゃんの背中は、随分と小さく感じた。

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