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高卒認定試験。そして大学受験。

今まで考えなかった、考えられなかった選択肢が私の前に広がっている。


将来を考える余裕なんてどこにもなくて、だから今更そんな事を言われても…というのが本音だ。


山本さんもゆっくりで良いと言ってくださったし、その言葉に甘えて考えながらもとりあえずはお仕事を頑張ろうと思う。





と言って考えてみたものの、大学なんてたとえ奨学金を利用したとしてもある程度のお金がかかってしまう。

4年間、短大だとしても2年間、学ぶための費用の捻出は難しい。


そこまでして私が学びたいものって、何かあるのだろうか?



パソコンに向かう手が止まってしまった。


そもそも学ぶという贅沢なことを許されなかった身で、一体何を。


その時、私の名を呼ぶ声が飛んできた。

「す、すみませんちゃんとやります…!」

慌てて作業に戻ろうとして、肩を叩かれた。

「お客さんだよ」
「え?」



そのお客さんは、父の事件の時にお世話になった弁護士の方だった。

何かまた手続きが必要なのだろうかと身構えたが、その人はカンファレンスルームのイスに座ると言った。


「Aさん、あなたにお金が渡ります」



「え?」


「あなたのお父さんも知らなかった、お母様の貯金があるようなのです」


弁護士の人が裁判の為に色々と調べていると、そのお金が出てきたとのこと。



「その貯金の名義は、Aさん、あなたです。

あなたの為にお母様が残した貯金です。


お父さんのことは関係ありません、自由に使ってください」




その金額は、大学の費用なんて気にしなくて良い程だった。


にわかにそんな大金が手に入る事を知り、半ば呆然とする私はふとある事に思い当たった。



ー「いつまでも仮住まいみたいな形で、頼ってばかりじゃ駄目だと思って。

生きていけるだけのお金が貯まったら、きちんと出て行きます」





そう、はっきりと宣言した事を。





(生きていけるだけの、お金)

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かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年6月10日 21時) (レス) id: b946a130ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:るる | 作成日時:2019年6月10日 21時

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