starlight night (ページ31)

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もしかしたらここでやって行けるかもしれない、
そんな想いすら抱いてしまうほど、ここはとても優しくてあたたかい職場だった。

「Aさん、あの話、考えておいてね」

今朝、部長に言われた事が蘇る。

ここになら、私は居場所を見つけられるかもしれないと、そう思えてとても嬉しかった。

本当に、嬉しかったのに。

顔を上げた目線の先に、1人のお客さん。

お客さん？

グッズを買いに来た、熱心なファンであると信じたい。

目的はただ買い物だけだったと。

その人がふと、顔をこちらへ向けた。

視線がぶつかる。もう動けない。

「あれ？」

声をあげた、その声は、世界で2番目に聞きたくない声。

(お前がいるから、あの人は私と一緒にならない！お前が、お前がいるから…！)

(ごめ、ごめんなさい)

(私だけと、一緒にいればいいのに、お前さえいなければ…)

((じゃあ、どうして、あなたは私とおとうさんを置いていくの))

それは、中学時代に父と一緒になって私を傷付け続けた人。

そして、結局出て行った、父の元恋人。

(父を、さらに狂わせた人)