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#43 side

翼にAちゃんを託している間、俺は職員さんにお願いをしていた。


なるべく、自己肯定感が高められるような、
彼女が絶対に必要なんだと自分で強く思えるような、
自信がつくような仕事があるならば彼女にやらせてあげて欲しいと。


ほんの少し事情を説明すると、職員さんはすぐに事を理解し協力的な姿勢を取ってくれた。



本当に良い職場だ、ここ。





翌日は全て話が行っているようでスムーズに事が運び、めでたくAちゃんはここで働く事となった。



練習で様子を見る事は出来なかったが、遠目に何やらカメラを持っているAちゃんを見つけた。




「あれ、あんな子いたっけ?」

グラウンドに座って休憩中の山岡さんがAちゃんに気付いた。



「あ、早速仕事してる!
本当に採用なったんだぁ、あの子由伸と一緒に住んでるんすよ〜」


翼が誤解を招きそうな事を口にする、まぁ事実ではあるけれど。



「え、彼女?」


「違います。
色々事情があって、親とか頼る所がなくなって俺のとこで面倒見てるっていうか」


「凄い事情がありそうだな」

「まぁ複雑っすね」


山岡さんはAちゃんをもう一度見やる。
職員さんに話しかけられて楽しそうにカメラを触っていた。


「どんな子なん?」


「俺も昨日会ったんすけど、めっちゃいい子ですよ!由伸のこと凄い好きで」


「いやそんなに信じてもらえてないと思うけど…
凄く真面目で、真面目すぎる子っすね」

うん、どこまでも真面目なんだ…Aちゃんは。


「ふ〜ん、また話してみよう」

「山岡さん駄目っすよ、昨日俺も釘刺されました」

「俺、既婚者」




打撃練習の様子にカメラを構えるAちゃん。

嬉しそうで、楽しそうで、そんな表情が見られる事が本当に嬉しい。




帰りの車で、今日の話をたくさん聞こう。

そして、何か美味しいものを食べよう。

(弾んだ声が聞けると良いな)

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かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年6月10日 21時) (レス) id: b946a130ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:るる | 作成日時:2019年6月10日 21時

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