starlight night (ページ20)

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#43 side

どれだけ抑えても、そしてまた、ボコボコに打たれても、

変わらない朝がそこにはあった。

どこかで鳥が鳴いていて、

花がそっと咲いていて、

柔らかい光が射し込んで。

そして、今目の前にいる、

Aちゃんが学校に行くために歩いていて。

気が滅入っていたとしても、朝のその瞬間は、嫌な事を忘れられた。

俺はそんな平和な時間が好きだった。とても。

毎朝変わらない平穏をくれたAちゃん。

元気でいて欲しかった。死にたいと思うほどに苦しんでいて欲しくなかった。

何も知らない赤の他人ではあるけれど、いつの間にかそんな感情を抱いていた。

Aちゃんの手は、温かかった。

「人殺しの娘ですよ」

そんな立場であっても、沢山の衝撃的な話を聞いても、俺の思いは変わらなかった。

「AちゃんはAちゃんだ。

それ以外の事は、どうだって良いんだ。

そこにいてくれるだけで、十分だ」

「あなたって、本当に馬鹿…」

「分かってる。
馬鹿でも阿呆でもなんでも、」

俺には、君が必要なんだ。

(その瞳から零れた涙が、俺の手を濡らした)