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自分の事で頭がいっぱいだった。
私は何の為に生きているのか、その事を私は忘れかけていた。
山本さんの登板を、私は1人でスタンドで見ていた。
勤務時間ではないので、内野自由席でゆっくりと。
試合中でさえ私は、自分の将来について悩んでいた。
けれどその一球を投げる直前、私は猛烈な違和感に襲われた。
投げたらダメと叫びたくなるような。
何が起こったかを受け止めるのに時間がかかった。
山本さんがマウンドに倒れ込む。
その様子が、ひどく現実離れして見えた。
命に別状がある訳ではない。
けれど、野球選手、ましてピッチャーにとって右手の負傷がどんな意味を持つかは想像に難くなかった。
私はスタンドから駆け出し、事務所の方へ向かった。
病院に直行したとの事で、タクシーに飛び乗る。
その車内で私の心はハッキリと決まっていた。
(もう悩まない、と)
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かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年6月10日 21時) (レス) id: b946a130ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るる | 作成日時:2019年6月10日 21時