＃８ ページ9
.
高橋「 ほんま、昔から変わらんなぁ 」
なにか、今までとは違う笑顔で隣に座る高橋。
藤原先輩から聞いたって、
それで怒ってるのかと思ってたのに。
高橋「 何か隠そうとすると、耳触ったり。
人の来ない場所におったり 」
「 …先輩から、聞いたんやろ？ 」
隣に座る高橋を見れば、スっと笑顔が消え、
不機嫌な表情を浮かべた。
そして腕を伸ばして、頭をぐしゃぐしゃと
撫で回してきた。
「 ちょっ、なに！なにすんねん！ 」
高橋「 俺は丈くんやなくて
お前から直接聞きたいんやけど！ 」
───やっぱり怒っとった。
そういえば、小学生の時もあったな。
自分が怪我したことを黙ってたら、
怒った高橋に頭をぐしゃぐしゃされたっけ。
昔から変わらんのは、高橋もやん。
高橋「 なんで俺に言ってくれないん。
そんなに頼りないんか 」
「 …高橋には関係ないことやん 」
高橋「 その呼び方もや 」
怒ってるけど、声は荒げずに、淡々と言った。
“ 高橋 ” そう呼び出したのは確か中学。
でも、どうして呼び方に怒ってるのか、
高橋呼びの何がダメなのかわからへん。
高橋「 恭平って呼んでたやろ 」
「 理由なんてないで。中学になったら、
名前呼び、恥ずかしくなってん 」
恥ずかしくなった、それはほんま。
高橋呼びでも困ることはあらへんし、
ずっとそのままにしてただけ。
高橋「 昔みたいに恭平って呼んでや 」
「 …え、なんで 」
高橋「 そう呼んで欲しいんや。
呼ばんかったら返事せぇへん！ 」
子供のように拗ねる高橋。
何度も「 高橋、高橋 」と声をかけても
そっぽを向いたまま反応してくれへん。
「 …はあ。…恭平、これでいい？ 」
高橋「 おん、それでええ 」
名前で呼べば、嬉しそうに笑って
ポンっと頭に手を置いて優しく撫でてきた。
その笑顔に、少しだけキュンとしたのは
墓場まで持っていこうかな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 235人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みぢゅ | 作成日時：2022年12月22日 18時
