綾薙学園の薔薇 (ページ8)

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7話ページ8

那雪「あ、桜宙さん。おはよう」

『あはよう。何かあったの？』

那雪「星谷君、掃除当番だったの忘れてて…」

『あぁ…』

星谷の慌てた様子が理解出来た。

『…その、お弁当那雪が作ったの？』

那雪「あ、うん！料理が得意なんだ。良かったら桜宙さんのも作ろうか！？」

『え、でも大変じゃ…』

那雪「平気だよ！作らせて、桜宙さん！」

『わ、分かった。ありがとう』

そう言われたら断れない。私は那雪の提案に折れたのだった。

すると、何だか妖しい声が聞こえてきた。

？「逃げるな、もっとこっちへ来い」

低く甘い声が聞こえる。

？「安心しろ、優しくしてやる。それとも、荒っぽい方が好きか？」

那雪「ｺﾞﾄﾝｯ)ぁっ…天花寺、君…(頬赤」

『ウエッ…』

那雪はびっくりしたのかお弁当を落とした。

『(マジか…天花寺、部屋に女を連れ込んでるのか？)』

私と那雪は暫く顔を見合わせて呆然としてしまった。

あの後、那雪と別れて教室に行った。天花寺に彼女が居たんだ…と軽く考えながら午前を過ごした。
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空閑side

空閑「大概にしとけよ、チャラ男」

昼休み、校舎の外で腐れ縁の虎石和泉からバイクのキーを受け取った。

虎石「ッヘヘ」

空閑「お前の女、香水キツすぎ。メット持参させろ」

虎石「愁こそ可愛い愛車なんどろ？バイトの足に使ってるだけじやなく、偶には女の子でも乗せてやれよこの勤労少年♪」

女に興味はない。今はミュージカルの事だけを考えていたい。

虎石「で、どーよ？落ちこぼれスター枠の居心地は。お前の実力なら、俺と同じチームだと思ってたのになぁ…

噂になってるぞ、本当は落ちてた筈の奴等を鳳先輩が拾ったって」

空閑「…なるほどな。道理で可笑しな連中が揃ってるはずだ」

俺は用が済み校舎に戻ろうとすると…

虎石「待てよ、愁」

虎石に呼び止められた。

空閑「…何だ」

虎石「綾薙学園唯一の女子生徒はどうよ？」

空閑「桜宙か？」

何で虎石から桜宙の名前が出るんだ…

そういやコイツは無類の女好きだったな。

虎石「昨日、辰巳が話したって言っててよ。どんな子か気になったんだよ。

噂じゃ、実力は大した事ないって聞いたけど」

桜宙の実力が大した事ない…？

あり得ないな。昨日の芝居は確実に上手かった。

空閑「俺からは別に言うことは無い。まだ桜宙の事は何も知らないしな」

虎石「ふーん…じゃ、今度俺に桜宙ちゃんの事紹介しろよな！」

空閑「ハァ…」