4話 ページ5
鳳先輩は台本の説明をする。
鳳「その台本は、物語のクライマックス。綾薙学園の学園長が殺され、容疑者である学園長の息子４人と娘1人を集めた刑事が、遂に犯人を追及する。
配役はこちらで指定させてもらうよ。
真面目な長男は月皇。父とは学園の経営方針で争っている」
月皇「分かりました」
鳳「無口な次男は空閑。亡くなった母の事で父に不満を持っていた」
空閑「…」
『(返事なしか…)』
鳳「放蕩息子の三男は天花寺。父親からは勘当寸前だった」
天花寺「フッ…」
『(笑う要素あったか…？)』
鳳「内気な四男は那雪。いつも父に認められたいと思っていた」
那雪「っはい！」
鳳「冷静な長女は桜宙。父とは淡白な関係で、あまり話さない」
『はい』
鳳「で、それを追い詰める刑事は星谷ね」
星谷「おっ俺が刑事ですか！？」
鳳「うん。じゃ、準備して？」
私達はそれぞれ舞台の上で散らばった。
鳳「…さ、始めようか」
那雪「ほ、本読みもせずにですか？」
鳳「その方が君達の力量も分かるからね」
『！(あの人は…)』
ーーパンッ
鳳「綾薙学園殺人事件、スタート！」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
月皇「父の死は事故で決着したはずじゃ！？」
『私もそう聞いたわ』
天花寺「俺だって暇じゃねぇんだよ！」
那雪「僕達を集めたのは一体どういう用件なんです？」
刑事役である星谷に問いかける。
星谷「ハンニンガワカリマシタ！」
全「！？」
星谷「ハンニンハ、コノナカニイマァース！」
こちらに振り向いた星谷は指を指す。
『(ぼ、棒読み…私よりも酷い…)』
星谷は棒読みで台詞を言った。その顔は何故かドヤ顔だ。
那雪「ひ、酷いよ！僕達がお父さんを殺すはずないじゃないか！」
『はぁ…私達が親を殺すなんてあるわけないわ』
天花寺「はっきり言えよ！犯人が誰なのか」
月皇「証拠はあるんでしょうね」
星谷「モチロン証拠はアリマス」
天花寺「だったら誰だっていうんだ！」
月皇「誰なんですか。言ってください、刑事さん！」
星谷「分かりました。犯人は…」
全「！？」
次のページを捲ると、一言も台詞が書かれていない白紙だった。
那雪「あ、あの。これ…」
鳳「続けて。まだ幕は開いてるよ」
月皇「まさか…初日からインプロですか？」
鳳「察しがいいね」
天花寺「マシだかよ…」
すると星谷が近づいてきて…
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作者名：Azuki x他1人 | 作成日時：2021年6月19日 18時
