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44話 ページ45









人「紅蓮寺様!?」




紅蓮寺は一人、蝶屋敷を訪れていた。




紅蓮寺「急にすまない。

しのぶに会わせて欲しいんだが……」




パリンッ!バンッ!!




紅蓮寺「なんだ?」


人「も、申し訳ございません、紅蓮寺様…。

しのぶ殿は……だいぶ気が滅入っているようで…」


紅蓮寺「…通せ」


人「ぐ、紅蓮寺様!?」





紅蓮寺は無理矢理屋敷内へと踏み込む。


そして、



しのぶがいるであろう部屋の襖を開けた。





紅蓮寺「……」




紅蓮寺の瞳に飛び込んできた光景。

部屋中の障子が破れ、鏡も割れ、畳を切り刻んだような跡があった。


そして、部屋の隅のほうに蹲っているしのぶ。

紅蓮寺はしのぶへと歩み寄る。




紅蓮寺「しのぶ」


しのぶ「!」


紅蓮寺「私が分かるか?」


しのぶ「……ぐ、紅蓮寺さ……」


紅蓮寺「本当に残念だ。

素晴らしい人間を亡くした」


しのぶ「……私、全然強くなんてなかった…

姉さんに守られて、姉さんを死なせてしまった……」


紅蓮寺「……」


しのぶ「紅蓮寺さんが折角くださった日輪刀も上手に振るえなかった……」


紅蓮寺「……」


しのぶ「私は…弱い人間だ……!!!」




そう言って、しのぶは隠していた小刀を自分の喉元に突きつける。

それを、紅蓮寺は目にも止まらぬ速さで止めた。




しのぶ「は、離して!!」


紅蓮寺「死んでなんになる」


しのぶ「!」


紅蓮寺「カナエは、お前が死ぬことを望んでいるのか」


しのぶ「っ……」


紅蓮寺「こんなことをさせるために、私はお前を育てたわけじゃない」


しのぶ「………」


紅蓮寺「カナエは本当に残念だ。

だが、前を向け。

失った数を数えるな。

今守るべきものはなんだ。

お前には、妹がいるんだろう」


しのぶ「っ……カナヲ……みんな……」





震えながら、しのぶは小刀から手を離した。

そして、紅蓮寺に抱きつく。




しのぶ「うわぁぁあんっ!!ああああ!!」


紅蓮寺「泣けばいい。

今だけは、誰も見ていない。

強くなれしのぶ。

誰も傷つけさせないくらい強くなれ」


しのぶ「っ、姉さん……姉さん……!」


紅蓮寺「……ああ、姉さんだ。お前の……」

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作者名:しょうが湯 | 作成日時:2019年9月17日 0時

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