39話 ページ40
。
夏葵凪「そんなものなくとも、俺は勝てる！」
しのぶ「はぁ！」
。
紅蓮寺「ふぁ〜」
頭を掻きながら縁側へと出てくる紅蓮寺。
紅蓮寺「今日も晴れか〜……ん？」
ふと、庭園へ目をやると、そこには木刀を地面につきながら息を荒らげるしのぶの姿があった。
そして向かいには、余裕な笑みを浮かべる夏葵凪の姿。
紅蓮寺「おいおいお前ら。
こんな朝っぱらから何やってんだ…」
瑠璃羽「あっ、師範！おはようございますっ」
紅蓮寺「いつからやってる？」
瑠璃羽「昨日の晩からです〜」
紅蓮寺「馬鹿者！
しのぶはまだ稽古についていくのがやっとなんだぞ！
体に負荷をかけてどうする！」
瑠璃羽「うっ、だって夏葵凪が〜」
しのぶ「ｶﾋｭｯ……」
紅蓮寺「しのぶ！」
血を吐いて倒れるしのぶ。
紅蓮寺「馬鹿者！
なんでこんな無茶をする！」
しのぶ「……つ、よく…」
紅蓮寺「……はぁ。
夏葵凪。説明しろ。何故こんなことになった」
夏葵凪「…この女は邪魔です。
師範と俺の時間を邪魔するから」
紅蓮寺「…夏葵凪。
お前は一週間稽古禁止だ」
夏葵凪「！」
紅蓮寺「しのぶにこんな大怪我させて。
それに、夜の稽古は許してないぞ」
夏葵凪「……」
紅蓮寺「瑠璃羽。お前も同罪だ。
夏葵凪としばらく頭を冷やしてこい」
瑠璃羽「えぇ！！」
紅蓮寺「えーじゃない！
早く部屋に戻れ！馬鹿者どもが！」
紅蓮寺に言われ、二人は渋々部屋に戻っていく。
紅蓮寺「しのぶ。聞こえるか。
返事はしなくていい。
今からお前に言うことを、一ヶ月間忘れるな」
しのぶ「……」
紅蓮寺「いいか、しのぶ。
強くなるからって、無闇矢鱈に稽古をすればいいってもんじゃない。
努力は大切だが、体が倒れたら元も子もない。
これから一週間。お前に集中的に稽古をつける。
だが、休息も稽古のうちだ。忘れるな」
紅蓮寺の言葉にしのぶはゆっくりと頷いた。
紅蓮寺「よし。まず今日一日は安静にすることだな。
呼吸で肺を回復させろ。
それくらい、できるだろう？」
しのぶ「は、い…」
紅蓮寺「部屋に戻るぞ」
しのぶを抱き上げ、紅蓮寺は部屋へと戻っていった。
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作者名：しょうが湯
| 作成日時：2019年9月17日 0時
