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33話 ページ34










姉が鬼殺隊に入った。

だから私も、鬼殺隊に入った。


でも、周りの人より体が小さい私には鬼の首が切れない。

切れなければ、鬼殺隊士にはなれない。






カナエ「ねえ、しのぶ」


しのぶ「なに?」


カナエ「無理に鬼殺隊に残らなくてもいいのよ?

私はね、しのぶにはおばあさんになるまで幸せに生きていてほしいもの」


しのぶ「…嫌よ。

姉さんがここにいるなら、私もここにいる」


カナエ「しのぶ…」





躍起になっていたのかもしれない。

自分でも分かっていたから。


鬼殺隊に向いていないことくらい_____。






そんな日々を過ごしていた時だった。

毎日のように鍛錬に明け暮れていたその日、私は出会った。






紅蓮寺「おーおー、無茶苦茶な剣筋だなぁ」


しのぶ「!!」





いつの間にかその人はいた。

縁側に胡座をかいて、肘をついていた。





しのぶ「だ、誰ですか!」


紅蓮寺「通りかかっただけだ。

お前、そんな闇雲にやったって上達しないぞ」


しのぶ「っ…放っておいてください!」





綺麗な人だと思った。

女性…なのだろうか。


潮の香りがする。

海を彷彿とさせるその人は、青い瞳と紺色の髪を風に靡かせながら私を見つめていた。





紅蓮寺「人より体が小さいから、刀を振るうのは向いていない」


しのぶ「そんなこと分かってますよ!!

なんなんですか!あなた!」


紅蓮寺「私は紅蓮寺海暁。

胡蝶しのぶ。お前に良いことを教えてやる」


しのぶ「は、はぁ?」


紅蓮寺「“突け”」


しのぶ「つ、突け…?」


紅蓮寺「そうだ」





紅蓮寺海暁と名乗る女?は私の元へ歩み寄り、私の刀を奪った。





しのぶ「な、なにを…」





次の瞬間、ヒュンッ!と風を切る音と共に、目の前にあった藁人形を突きで粉砕した。

凄まじい光景だった。

目にも止まらぬ速さだった。





しのぶ「あ……」


紅蓮寺「刀を振り下ろした時にかける力。

お前にはその力が足りない。

なら、誰よりも速く動けるようになればいい。

刀には色々な使い方がある。

お前は突くことだけを極めろ」


しのぶ「あ、あの!」


紅蓮寺「なんだ?」


しのぶ「な、何者ですか…一体…」

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作者名:しょうが湯 | 作成日時:2019年9月17日 0時

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