27話 ページ28
。
やめろ、やめろ。
もうそれ以上罪を重ねるな。
どうして?
あなたも人を食べればいいだろう。
私は人を食べない。
もう、あんな思いはしたくない。
愛する者を自らの手で殺めたことか?
そんなことは些細なことだ。
これからの『食事』に比べれば、ほんの些細な出来事だ。
お前には人の心がないのか。
ない。
私は完全で絶対な存在。
恐ろしいことなどない。
強いていえば、あなたが敵になることが恐ろしい。
敵になる。
お前と私は相容れぬ存在だ。
そうならないように、今こうして眷属を増やしている。
次期にこの国は私の手の中に収まる。
そして、世界中が鬼のものになる。
そんなことはさせない。
絶対に、食い止めてみせる。
その目、その声、全てが美しく忌々しい。
男でも女でもない、その曖昧な存在。
素晴らしいじゃないか。
あなたなら、きっと鬼の王になれる。
そんなものに興味はない。
私は人としての尊厳を失いたくはない。
お前も人間だったんだ。
この気持ちが分からないのか。
分からない。
私はもう鬼だ。
人間などという軟弱な種族にもう用はない。
その性根、叩き治してやる。
いい。いいぞ。
私と戦うか。
どちらが完璧な存在か確かめようじゃないか。
受けて立つ。
必ず、お前を仕留めてやる。
逃げても無駄だ。
必ず捕まえて、我が眷属に迎えてやる。
そんなものになるなら死んだ方がマシだ。
はははっ!
不老不死がどうやって死ぬつもりだ!
あなたのその体はもう、死ぬことも老いることも叶わぬのだからな!
ああ、そうだ。
本物の化け物だ。
誰にも愛されず、死んだように孤独に生きていく。
ならば、今一度考えろ。
私と共に来い。
あなたと私で、この世界を蹂躙し尽くそうじゃないか。
断る。
お前は私を怒らせた。
その意味を、何十年…いや何百年かけて教えてやる。
楽しみだ。
退屈させるなよ___さん。
その名は捨てた。
私は今日から、海暁___紅蓮寺海暁だ___。
5人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しょうが湯 | 作成日時:2019年9月17日 0時