25話 ページ26
。
瑠璃羽「…行きます。産屋敷邸に」
夏葵凪「俺も」
しのぶ「ダメです。
今日一日はまだ安静にしていてください」
瑠璃羽「師範がそんな状態なのに寝てなんていられません！」
義勇「胡蝶の言う通りだ。
お前達が行って何になる」
瑠璃羽「っ」
夏葵凪「そばにいたいんです。
お願いします。胡蝶様」
しのぶ「……分かりました。
冨岡さん。同行してあげて下さい。
私はまだやることがあるので」
義勇「わかった」
。
産屋敷邸に着くと、産屋敷耀哉が直々に出迎えてきた。
産屋敷「よく来たね」
瑠璃羽「お館様、師範は…」
産屋敷「こっちへおいで。案内しよう」
産屋敷の後をついていくと、大きな和室へ通された。
その中央に敷いてある敷布団に眠る紅蓮寺を見て、瑠璃羽と夏葵凪は駆け寄った。
瑠璃羽「姉様！」
夏葵凪「兄様！」
当然、二人の呼びかけに応えることはない。
体中に痛々しく巻かれる包帯を見て、二人は涙を流した。
夏葵凪「ごめんなさい……」
瑠璃羽「私達が弱いせいで……っ」
産屋敷「ありがとう、義勇。
連れてきてくれたんだね」
義勇「…胡蝶が許可を。
それに、俺達が言っても聞きそうになかったので」
産屋敷「海暁には良い薬になるだろう。
しばらく三人にしておこう」
義勇「はい…」
。
瑠璃羽「……夏葵凪」
夏葵凪「なんだ？」
瑠璃羽「姉様、ちゃんと目覚めるよね？」
夏葵凪「当たり前だろ」
瑠璃羽「でも、息してない。
それに、心臓の鼓動も聞こえない。
でも冷たいままだよ……怖いよ……」
夏葵凪「兄様は強い人だ。
それに俺達の師範だ。絶対に負けない」
瑠璃羽「うん…」
それから二人は毎日産屋敷邸に訪れ紅蓮寺のそばを離れなかった。
そして、一ヶ月が過ぎても、紅蓮寺が目覚めることはなかった。
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作者名：しょうが湯
| 作成日時：2019年9月17日 0時
