24話 ページ25
。
胡蝶「はい、体調は大丈夫なようですね」
しのぶの診察室でそう告げられた瑠璃羽と夏葵凪。
瑠璃羽「あの、胡蝶様。
師範はどこにいらっしゃるんですか？」
夏葵凪「どこの部屋にも見当たらないんですが…」
二人の言葉にしのぶの表情が変わった。
しのぶ「紅蓮寺さんは…ここにはいません」
瑠璃羽「え？」
夏葵凪「どういう意味ですか」
しのぶ「今は、産屋敷邸で療養されているからです」
瑠璃羽「お館様の御屋敷で？」
夏葵凪「何故ここではダメなんですか？」
瑠璃羽「まさか！何か重い怪我でも！？」
しのぶ「……」
しのぶは黙ったまま、何も話さない。
そこへ、
義勇「お前達を守った結果、意識不明だ」
瑠璃羽「！」
夏葵凪「！」
しのぶ「冨岡さん…！」
義勇「隠しておく必要もないだろう」
瑠璃羽「どういう意味ですか！！」
義勇「知らないのか。
お前達が紅蓮寺を洞窟へ連れて行った直後、お前達はそのまま眠った。
その結果無数の鬼に襲われ続けた。
お前達を守るために、紅蓮寺は世が明けるまで戦い続けた」
瑠璃羽「そ、そんな……」
夏葵凪「嘘……だ…」
しのぶ「本当ですよ……。
そして、酷い怪我を負った状態であなた達二人を背負って山を降りたんです。
私達が応援に向かわなければ、危なかったでしょう」
瑠璃羽「あ、……」
しのぶ「……今から、あなた達に酷なことをお伝えします。
紅蓮寺さんの状態は芳しくありません。
体中の臓器の機能が停止しているからです」
瑠璃羽「て、停止……？」
夏葵凪「死ぬってことですか……師範が…？」
しのぶ「まだ死ぬと決まったわけではありません。
ただ、機能を停止しているだけです。
ですが、油断を許さない状況なのは確かです」
しのぶの言葉に二人は絶句した。
瑠璃羽「わ、私たちの…せいだ…」
夏葵凪「っ……」
義勇「お前たちのせいではないだろう」
瑠璃羽「だって！
私達が出て行かなければ、師範が傷を負うこともなかった！！」
しのぶ「瑠璃羽さん…」
夏葵凪「俺達が、黙って師範の言うことを聞いていれば……」
しのぶ「……自分を責めるのはやめてください。
紅蓮寺さんは、そんなことのためにあなた方を助けた訳ではありません。
……可愛い妹と弟だって、言ってましたよ。紅蓮寺さん」
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作者名：しょうが湯
| 作成日時：2019年9月17日 0時
