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23話 ページ24









「おい子供。

こんなところにいたら風邪を引くぞ。

とっとと家に帰らないか」





美しい女の人は私たちにそう言ってきた。


美しい男の人は俺たちにそう言ってきた。





「なんだ、帰るところがないのか。

ここで野垂れ死なれても困る。

ついて来い。引き取り手が見つかるまで面倒を見てやる」






女の人は私たちに言った。

手を伸ばすことも笑いかけることもなく、ただ歩き出した。



男の人は俺たちに言った。

手を伸ばすことも笑いかけることもなく、ただ歩き出した。




それが、紅蓮寺海暁との出会いだった。



















目を覚ますと、そこは見慣れた天井だった。

怪我を治療する、蝶屋敷。







瑠璃羽「うっ…」


アオイ「起きましたか、瑠璃羽さん」


瑠璃羽「ここは……」


アオイ「蝶屋敷ですよ。

あなたが運ばれて四日は経っています」


瑠璃羽「姉様…姉様は!?!?痛っ」


アオイ「動かないでください。

海柱様でしたら、療養中です」


瑠璃羽「ほっ……」




夏葵凪「俺の心配はなしか」


瑠璃羽「いたのね」


夏葵凪「ああいたさ。

お前よりも早く目が覚めていたがな」


瑠璃羽「嘘よ。私の方が早かったわ」


夏葵凪「俺だ」


瑠璃羽「私よ」


夏葵凪「俺だ!!」


瑠璃羽「私よ!!」





隣合わせのベッドで喧嘩を始める二人。





アオイ「それだけ元気なら大丈夫ですね。

お薬持ってくるので、大人しく待ってて下さいよ」



















産屋敷「どうだい」


医者「はい。

心臓も止まっていて、息もしていません。

ですが、亡くなられているわけではないようです」


産屋敷「そうか…。やはり、あの…」


医者「あと一週間目覚めないようでしたら、またお知らせ下さい。

途中経過で異変が起こりました、その時も」


産屋敷「ああ、ありがとう」






産屋敷邸にて療養中の紅蓮寺。

あれから一度も目を覚まさない。

呼吸も心臓も、全ての機関が止まっていると、医者が言った。





産屋敷「海暁……」





答えない紅蓮寺。

産屋敷はそっと、紅蓮寺の手を握った。

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作者名:しょうが湯 | 作成日時:2019年9月17日 0時

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