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19話 ページ20









数時間後_______






紅蓮寺「お館様!」


産屋敷「どうしたんだい。そんなに慌てて」


紅蓮寺「いないんだ!あの二人!」


産屋敷「二人って、夏葵凪と瑠璃羽のことかな?」


紅蓮寺「ああ……叱りすぎた。

私に嫌気がさしたのかもしれない……」





そう言って膝から崩れ落ちる紅蓮寺。


次の瞬間、紅蓮寺の背中から禍々しい瘴気のようなものが沸き立つ。





産屋敷「!」


紅蓮寺「もっとあの二人のことを考えてやれば……」


産屋敷「落ち着くんだ、海暁。

二人のことだ、そう遠くには行ってないだろうさ」


紅蓮寺「………」


産屋敷「“先生”」


紅蓮寺「!」


産屋敷「落ち着いてください。

私も一緒に探しますから。姿を戻してください」








影に覆い尽くされた紅蓮寺の姿を見て、産屋敷は優しく呟いた。


紅蓮寺の瞳から溢れる憎しみと恐怖を感じ取りながらも、優しく手を取る。







紅蓮寺「す、すまない……」


産屋敷「いいんだよ。

さあ、柱のみんなにも声をかけて捜させよう」


紅蓮寺「…耀坊…俺はどうなっちまうんだ…」


産屋敷「大丈夫だよ。

君は何も変わらない。僕の先生だ。

この鬼殺隊の要であり、夏葵凪と瑠璃羽の兄であり姉であるんだろう?」


紅蓮寺「……」


産屋敷「ほら、そんなにいじけてないで。

行くよ。君の大切な家族なんだろう?」

















瑠璃羽「ねぇ、夏葵凪。どこまで行くの?」


夏葵凪「うるさい。黙ってついてこい」





数時間、二人は歩き続けた。

そして、訪れたことない山の中を彷徨っていた。




瑠璃羽「お腹空いた…」


夏葵凪「喋るから腹が減るんだ」


瑠璃羽「…っ…姉様ぁ…」


夏葵凪「っ!うるさい!

兄様の話をするな!俺達は捨てられたんだ!」


瑠璃羽「っ……」


夏葵凪「俺たちだけで生きていかなきゃならないんだ」


瑠璃羽「でも、夏葵凪だって…寂しいんでしょ」


夏葵凪「……ああ、寂しいよ。

俺達にはあの人しかいなかったから…」


瑠璃羽「…今頃どうしてるのかな…」


夏葵凪「竈門炭治郎と話しているんじゃないのか」


瑠璃羽「……」






半ば無理矢理出てきたもの。

本心では、自分たちのことを追いかけてきて欲しかったのだ。






夏葵凪「日が暮れてきたな…」


瑠璃羽「……夏葵凪。鬼の気配が」


夏葵凪「ああ、分かってる」

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作者名:しょうが湯 | 作成日時:2019年9月17日 0時

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