海月少女の海月論【轟焦凍】 (ページ2)

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頭の中のずっとずっと遠い方で先程から鳴り止

まないこの音の正体はなんだろうか

ピピピピ、ピピピピ、と実に規則的な音

...鳥かもしれない

いや、通学中の小学生がとても上手に歌ってい

るのか

はたまた飼っている海月が突然変異でもしたか

兎にも角にも、正体を突き止め黙らせなければ

未だ夢の中の意識を無理矢理引きずり込み、

覚醒させる

目を開けた視界の前には、なんとも愛らしい姿

をした『海月丸透』(くらげまるとおる)が

「...目覚まし時計が鳴っていたのか。」

手を伸ばし海月丸透の頭に触り、音を止める

近所のくらげ博物館という所のマスコットキャ

ラクターである『海月丸透』

幼い頃から通っているくらげ博物館にマスコッ

トキャラクターが出来たと館長さんから聞き、

このビジュアルを見せて貰った時には巫山戯て

いるのかと怒りを覚えた記憶がある

マスコットキャラクターのくせして見た目が

リアルな海月なのだ

キャラクターでもなんでもない

これはもうただの海月だ

これでマスコットキャラクターなのか、と怒る

のも仕方がないと思う

しかし何年も同じ屋根の下で住むと変わってく

るものだ

今ではすっかり溺愛し、本当はこの子は本物の

海月なのではないか、と思い水中に入れてみた

こともある

ずっと気づかなくてごめんね、さぁお行き。

などと、恥辱的なセリフを吐きながら

勿論、透は水中に行かせてしまったが為に、

逝ってしまった

長針短針秒針が動かなくなったのを見た時に

は、慌てて館長さんの元へ行き

「透が動かなくなったんだ..！
早く助けてやってくれないか...！！」

と、馬鹿言ったものだ

いや、本当に

それが五年前のこと

そして今使用している透は14代目

13代目まで完璧に水中で逝かせた

どうしても水に放ってやりたいのだ。

なんせ四六時中水中で浮遊している海月を見て

いるのだから

...なんて事を透を見つめながら思い出してい

ると、透の時計が目に入る

短針は10を指していた

...なんてことだ

「遅刻じゃあないか。」