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翌日。
インターネットで廉の名前を検索すれば、さすが大型パラレル会社とだけあってすぐに会社名がヒットした。その場所へ向かえば、そこには大きくて高いビル。
都会のど真ん中、早朝からサラリーマン達が忙しく行き交う交差点、見上げれば宣伝を繰り返す大型ビジョン。
こんな、騒がしいところで。
早朝すぎるからか、人の気配は全くない。
入り口と思われる大きな自動ドアが見える、少し離れた端の方の植木近くのコンクリート部分に腰掛けた。
どれくらい経っただろうか、
ぽつぽつと出社する人が増え、でもまだ廉の姿は見当たらない。
きょろきょろと見回した矢先、その姿があった。
「廉!」
「……えっ、」
声をかけると、目をまん丸にして立ち止まった。
近寄って話しかけようとしたら、すごい勢いで腕を掴まれて、そのままさっきの位置へと半ば無理矢理連れていかれる。
「いっ、た!ちょっとなに、
「なにって俺の台詞で……!なに、なにやってるん」
「廉と、話がしたくて」
「だからってなんで……なんでこんなとこ来んねん」
すごくすごく冷たくて、突き放してるような言い方だった。
本当にこの前私に好きって言ったの?って思うくらいには。
ああ、それとも、もう廉の中では終わったことなのかな。廉は消化できたのかな。
なら話は早いよ。はやく、振ってくれればいい。
「あのね廉、すぐ終わるから
「むり、早く帰って」
「だからほんまにすぐやって」
「帰れって…………!もう2度とここ来んな」
私を無理矢理歩道へ押しやると、
そのまま振り向きもせずに会社へ入っていってしまった。
そんなに、怒らなくたっていいのに。
振ってくれるだけでいいのに。
…上等じゃん。
私を誰だかわかってる?
音信不通の幼馴染を探すために上京したんだよ?
どれだけ執念深いか。
幼馴染ならわかってるよね?
告白して振られるという最悪な目的なのに、メラメラと闘志が燃える。
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◯◯(プロフ) - タイムマシンみたいなコメント欄です( ◠‿◠ ) (7月13日 1時) (レス) id: de6e03f4bf (このIDを非表示/違反報告)
◯◯(プロフ) - 多分昔に2018年から年一ペースで読んでるとかいう書き込みをしたのですが、また読んじゃいました^_^大好きな作品です!!初めて読んだ頃からこんなに時間が経ってるのにびっくりするし、ここに書き込んでる人も大人になったのかなーって想像するだけでわくわくです^ ^ (7月13日 1時) (レス) id: de6e03f4bf (このIDを非表示/違反報告)
莉里(プロフ) - またいつか巡り合ったら読ませていただきます。確実に私のお気に入りの作品です。 (2022年6月25日 3時) (レス) id: fd324481c2 (このIDを非表示/違反報告)
莉里(プロフ) - たまたま検索していたところ、数年ぶりにこちらの作品を見つけました。懐かしな、何回も読み返したな、と思いながら読み始めると4時間ずっと読み続けてました。そして号泣していました。毎回です。こんな素敵な作品が残っていたこと、とても嬉しく思います。 (2022年6月25日 3時) (レス) @page37 id: fd324481c2 (このIDを非表示/違反報告)
ai(プロフ) - ほんと懐かしいな〜とコメント欄を眺めていたら、2017年の際にもしっかりコメントしている自分がいました(笑)この作品は中毒性がありますね。素敵な作品です。 (2021年9月29日 4時) (レス) id: a5a7435db3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆい☆ | 作成日時:2017年1月18日 12時