☆210 ページ25
夜、こつんて
自分の部屋の窓硝子に、石の当たる音。
その音は、
誘いの合図。
家族に「散歩してくるー」って声かけて、
すぐに下りてく。
「またそんな薄着で」
「大丈夫大丈夫」
「そんなんで風邪引いたらどうすんねん」
「大丈夫やってば…」
廉が自分の来ていたパーカーを私に着せると、
私の手を取って、真っ暗な道を歩き出す。
手を繋いでるのと逆の手で廉が持ってる、懐中電灯だけが頼り。
10分ほどしたら、
バス停が見えてくる。
すっっごい
ぼっっっろいバス停。
私たちが子供の頃、1日に午前と午後の1本ずつしかバスがこなかったそこは、
今となっては午後の1本だけになってしまった。
椅子と屋根も、老朽化したからか、無くなった。
そこに、並んで立って。
空、見上げる。
何も変わらないのは、星だけ。
相変わらず、綺麗に光ってるの。
手を伸ばしたら、掴めそうなくらい近くて。
「なんっで平野ショウ、実家まで来てんの」
「なんか…流れで？」
「は〜？…………いやまて」
「ん？」
「流れで、って…他にもそう言うのある？」
「他にもって？」
「…」
「なんやの」
星を眺めていた視線を、廉へと移す。
星空は好きだけど、それ以上に廉が気になる。
昔からそうだったのかもしれない。
星を見るなんてただの口実。
「や…あのさ、2年前……、東京で流星群みたとき………キスしたやん」
「……あ…そ、そうやったっけ」
「その時から思っててんけど、慣れてんなって」
「そんなわけないやん」
「せやけどファーストキスっぽくなかった」
「それはそうやけど」
「……ほら〜……………」
しゃがみ込む廉。
その横に、私もしゃがみ込む。肩が触れる。
「……だれ？」
「ショウさん」
「……キスだけ？」
「…………あの時は、ショウさんのこと好きになりかけてたから仕方ない」
「………はぁ……」
「今は違うし…」
「…俺が悪いんやけどさあ、、でもさあ、、、」
そしたら、ゆーっくり。
ゆっくり、ゆっくり、
顔が近づいて、鼻がくっつく。
ドキドキして、
嬉しくて、
恥ずかしくて、
「なかったことにせえへん？」
「……じゃあ、廉が好きって言ってくれたら」
「我儘やなあ」
「だめ？」
「そうとは言ってへんやろ」
唇が重なる寸前、廉がその言葉を呟く。
私の中に、流れ星が煌めいた。
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◯◯(プロフ) - タイムマシンみたいなコメント欄です( ◠‿◠ ) (7月13日 1時) (
レス) id: de6e03f4bf (このIDを非表示/違反報告)
◯◯(プロフ) - 多分昔に2018年から年一ペースで読んでるとかいう書き込みをしたのですが、また読んじゃいました^_^大好きな作品です！！初めて読んだ頃からこんなに時間が経ってるのにびっくりするし、ここに書き込んでる人も大人になったのかなーって想像するだけでわくわくです^ ^ (7月13日 1時) (レス) id: de6e03f4bf (このIDを非表示/違反報告)
莉里(プロフ) - またいつか巡り合ったら読ませていただきます。確実に私のお気に入りの作品です。 (2022年6月25日 3時) (レス) id: fd324481c2 (このIDを非表示/違反報告)
莉里(プロフ) - たまたま検索していたところ、数年ぶりにこちらの作品を見つけました。懐かしな、何回も読み返したな、と思いながら読み始めると4時間ずっと読み続けてました。そして号泣していました。毎回です。こんな素敵な作品が残っていたこと、とても嬉しく思います。 (2022年6月25日 3時) (レス) @page37 id: fd324481c2 (このIDを非表示/違反報告)
ai(プロフ) - ほんと懐かしいな〜とコメント欄を眺めていたら、2017年の際にもしっかりコメントしている自分がいました（笑）この作品は中毒性がありますね。素敵な作品です。 (2021年9月29日 4時) (レス) id: a5a7435db3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆい☆
| 作成日時：2017年1月18日 12時
