☆197 ページ12
「そんな、ひど、…い………」
声が震える。
自分の感情をコントロールできない。
こみあげる怒り。
「こっちが言いたいわ！おかげでショウ出てっちゃったのよ！……ほんとに惜しい事した」
こんなに怒っているのは、
自分の人生で初めてかもしれない。
震える手をなんとか握り締めて耐える。
手のひらに食い込む爪。
ショウさんも、ミナミさんも、
どれだけ辛かったんだろう。
「でもあなたデザイナーじゃないのよね？」
「…はい」
「どうしようもないじゃない。…出て行ったとはいえ、ショウには手を出したくなかったけど、あの子はあなたに付くみたいだし、
「これ以上なにするんですか！」
「……あなた次第なの。あなたが、もう廉に近づかないで、一切の縁を切ってくれるなら、なにもしないわ」
なにもできない、なんの力もない自分が惨めで、
言う通りにするしかない状況が痛くて、
ボロボロと涙が出た。
いやだ。こんなの。
でも、廉のため。
ショウさんのため。
もう廉に会えなくても………、
「立花さん」
「廉？」
返事をしようとした、そのとき、部屋に廉が入ってきた。
無で入ったきたその表情が、
私を見て、ぐらりと揺れる。
視線が泳いで、そのまま着地したのは硝子の破片が残る床。
それをみて、廉がゆっくりと息を飲んだ。
「廉、私まだ呼んでないわよ？」
「…あまりにも、遅いので」
「ええ、思いの外、話し込んじゃって。」
返事できる余裕がなくて、
涙を拭いながら、せめてもの抵抗で立花さんを睨む。
は、と鼻で笑われたけど、どうだっていい。
「立花さん、あの、」
「なに廉」
「Aには、手を出さないでください」
廉が、頭を下げる。
深く、頭のてっぺんが見えるくらいまで。
「嘘ついて、すいませんでした。けど、もうこんなことしません。これきりです。だからもう勘弁してください」
「………」
「俺なんでもしますから、Aには、
「るさいわね」
立花さんは、ツカツカと廉に近寄ると、
またさっきみたいに、頬を叩いた。
それでも、頭を下げたままの廉。
ああ、ダメだ。
涙が止まらない。
廉はいつも正しい。昔からそうだ。
こうなるってわかってて、私をすぐに帰そうとしてたんだ。立花さんに会わせないように。
昔から変わらない。
廉が、守ってくれてた。
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◯◯(プロフ) - タイムマシンみたいなコメント欄です( ◠‿◠ ) (7月13日 1時) (
レス) id: de6e03f4bf (このIDを非表示/違反報告)
◯◯(プロフ) - 多分昔に2018年から年一ペースで読んでるとかいう書き込みをしたのですが、また読んじゃいました^_^大好きな作品です！！初めて読んだ頃からこんなに時間が経ってるのにびっくりするし、ここに書き込んでる人も大人になったのかなーって想像するだけでわくわくです^ ^ (7月13日 1時) (レス) id: de6e03f4bf (このIDを非表示/違反報告)
莉里(プロフ) - またいつか巡り合ったら読ませていただきます。確実に私のお気に入りの作品です。 (2022年6月25日 3時) (レス) id: fd324481c2 (このIDを非表示/違反報告)
莉里(プロフ) - たまたま検索していたところ、数年ぶりにこちらの作品を見つけました。懐かしな、何回も読み返したな、と思いながら読み始めると4時間ずっと読み続けてました。そして号泣していました。毎回です。こんな素敵な作品が残っていたこと、とても嬉しく思います。 (2022年6月25日 3時) (レス) @page37 id: fd324481c2 (このIDを非表示/違反報告)
ai(プロフ) - ほんと懐かしいな〜とコメント欄を眺めていたら、2017年の際にもしっかりコメントしている自分がいました（笑）この作品は中毒性がありますね。素敵な作品です。 (2021年9月29日 4時) (レス) id: a5a7435db3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆい☆
| 作成日時：2017年1月18日 12時
