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「いつの間にか、変な女に引っかかったみたいで……ああ、思い出したくもない」
「なんで、そんな、」
「はい?なにか?」
「そんなの、人それぞれの、自由じゃないですか。だからあなたが口出しすることじゃ…、
「私の物なのに?」
「………物?」
「はは、当たり前じゃない。私が雇ってあげてるんだし」
「だからって人を物とか言うんですか?」
「わかってない、新人のくせにデザインの仕事があるのは、誰のおかげ?私でしょ?私のネームバリューと会社名があるから。才能があってもチャンスがないデザイナーなんてこの業界にごまんといるのよ?」
「……理解できません」
「頭の悪い子は嫌いなの。もういいわ。とりあえず、もう廉には近づかないでね?」
「……いやです」
「……なんて言った?」
「いやです。あなたに言われる筋合いないでしょう」
「だーかーら、それで困るのは、結局廉なんだけど」
さっきの光景が蘇る。
あんな風に理不尽に叩かれて、抵抗しないなんて。
いくら夢のためとはいえ。
廉が本当に本当に、
心の底からデザイナーという夢を叶えたかったのは、わかってる。
だけれど、こんな扱いを受けてまで…?
悔しい。
あんなに廉頑張ってきたのに。頑張ってるのに。
その反面、これがどんなに理不尽だとしても、廉の選んだ道なんだから、それこそ私なんかが口出しすることじゃないって。
「……ひとつ、お願いできますか」
「……」
「もっと廉のこと、大事にしてください」
「してるじゃない十分。あの子の食事から仕事から家まで全部世話見てるわ」
「そういうことじゃなくて……、人として、扱ってください」
「うわあ、最悪。ショウのこと台無しにしたあの女と同じこと言うなんて。あの関西弁だか京都弁だか、」
「……ミナミさん………?」
「なんだ、あの女のこと知ってるんじゃない。やっぱりショウから聞いてるんでしょ」
ショウさんとミナミさんの言葉を繋ぎ合わせる。
自分を責めてたショウさん。
悲しそうな、2人の顔。
「なにしたんですか…………」
「大した事じゃないでしょう。デザイナーなんて次から次へと出てくるんだし。そのうちの1人がいなくなったって直ぐに次が、
「なにしたんですか!」
「潰したの。あの女のデザイナーとしての人生。私が手を回せば一瞬。だって仕方ないじゃない、ショウから離れなかったんだもの」
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◯◯(プロフ) - タイムマシンみたいなコメント欄です( ◠‿◠ ) (7月13日 1時) (レス) id: de6e03f4bf (このIDを非表示/違反報告)
◯◯(プロフ) - 多分昔に2018年から年一ペースで読んでるとかいう書き込みをしたのですが、また読んじゃいました^_^大好きな作品です!!初めて読んだ頃からこんなに時間が経ってるのにびっくりするし、ここに書き込んでる人も大人になったのかなーって想像するだけでわくわくです^ ^ (7月13日 1時) (レス) id: de6e03f4bf (このIDを非表示/違反報告)
莉里(プロフ) - またいつか巡り合ったら読ませていただきます。確実に私のお気に入りの作品です。 (2022年6月25日 3時) (レス) id: fd324481c2 (このIDを非表示/違反報告)
莉里(プロフ) - たまたま検索していたところ、数年ぶりにこちらの作品を見つけました。懐かしな、何回も読み返したな、と思いながら読み始めると4時間ずっと読み続けてました。そして号泣していました。毎回です。こんな素敵な作品が残っていたこと、とても嬉しく思います。 (2022年6月25日 3時) (レス) @page37 id: fd324481c2 (このIDを非表示/違反報告)
ai(プロフ) - ほんと懐かしいな〜とコメント欄を眺めていたら、2017年の際にもしっかりコメントしている自分がいました(笑)この作品は中毒性がありますね。素敵な作品です。 (2021年9月29日 4時) (レス) id: a5a7435db3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆい☆ | 作成日時:2017年1月18日 12時